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新人魔女と怪しい店(3)

 父との話を終えた後、自室に戻ったリッカはベッドにどさりと倒れ込む。


(お父様は、リゼさんのことをどう思っているのだろう……)


 これまでリッカの仕事については特に何も言ってこなかった両親だが、ネージュであるリゼの工房で働いているとなれば、やはり話は違ってくるのだろう。リッカに対しても複雑な思いを抱いているのかもしれない。


(あぁ、それにしても体が重い……)


 しばらくの間ぼんやりとしていると、不意に室内に自分以外の気配を感じた。リッカの影から出てきた使い魔である子狼のフェンが、心配そうにリッカの顔を覗き込んでくる。リッカは上半身を起こすと、いつものように優しく頭を撫でてやった。


「リッカ様。魔力が枯渇している様です。大丈夫ですか?」


 真剣な表情で言うフェンに、リッカは緩く笑みを見せる。


「うん。ちょっと疲れているだけだよ」


 しかし、フェンは心配そうに鼻をリッカに擦り付けた。


「僕に何か、できることがあればいいのですが……。クッキーで回復しますか? 探してきましょうか?」


 フェンは自分の好物で主の回復ができるならと聞くが、リッカはそれをやんわりと断る。


「そうねぇ。クッキーもいいけど、それより魔力回復のお薬の方が効き目があるかな」


 解決策があるとわかったフェンは、安堵したのか大きく尻尾を振った。


「それは何処にありますか? リッカ様の鞄の中にありますか?」


 期待に満ちた眼差しを向けるフェンに、リッカは首を横に振る。


 確かにリッカは普段から魔力回復用の薬を持ち歩いている。しかし、今は手元にない。運悪く切らしてしまっていた。使い切った時に補充しておかなかったことが悔やまれる。


 この国では、病気や怪我をした時は、薬草などを調合し、それを煎じて飲むか、治癒魔法の使い手に治療してもらうことが多い。


 しかし、魔力を回復させるには、回復用の薬を飲むか、自然回復を待つ以外に回復する方法はない。だが、自然に魔力が回復するのを待っていては時間がかかり過ぎるので、魔力を使い過ぎたときは、必然的に魔力回復の薬を飲むことになる。


 ちなみに、魔力回復薬の素材はなぜだか、あまり市場に出回ることがないらしい。自力で回復薬を作ろうと思えば、素材採取から始めることになると学校で教わった。


 稀に市場で素材を見かけても、それは随分と高値で売られていることがほとんど。そのためか、市販の魔力回復の薬は、傷などを治す薬に比べて少しばかり高価だったりするのだ。

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