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新人魔女と本当の師匠(7)

 深夜に呼び出したのは自分なので、謝罪がてら、リッカの雇用主としても挨拶すると言うのである。


 王族であるリゼがリッカの自宅に来るなど、とんでもないことだし、何よりリゼの正体を知った時の両親の反応を考えると気が重い。必死に断り続けるリッカだったが、リゼは全く聞く耳を持たなかった。


「エルナさん。私の外套の場所はわかりますか? 出かける支度をお願いします」

「え? ……ええ。かしこまりました。少々お待ち下さいませ」


 リゼに頼まれたエルナは戸惑いの表情を一瞬見せた。それでも、リゼは周りの様子などまるで無視をして、勝手に事を進めていく。


(一体どうしてこうなった……?)


 リッカは頭を抱えたくなった。


 しばらくして、エルナがリゼの外套を手に戻ってきた。リゼは手際よくそれを身に着けると、リッカを急かすようにして玄関へと歩き出す。リッカは仕方なく後を追う。二人の見送りにと、エルナもついてきた。


 外へ出ると、リゼがちょうど黄色の宝石をポンと地面の上に落としたところだった。


 すると、たちまち黄色い光が輝き始め、その光の中から魔馬が現れた。竜の時のように宝石から出て来た魔馬はどうやらリゼの使役獣のようだ。美しい毛並みの白馬は、朝日を受けて、その身体をキラキラと輝かせている。


 リゼはその背にひらりと飛び乗った。そして、リッカに向かって手を伸ばす。差し出された手に掴まれということなのだろう。


 リッカは恐る恐るリゼの手を掴む。リゼはリッカの手をぐっと引くと、自分の前に座らせた。リッカの腰に腕を回しながら、エルナに向かって声をかける。


「昼までには戻ると思います」


 リゼの言葉を聞いて、エルナは了解したとばかりに大きく首を縦に振った。


 二人を乗せた白馬が翼もないのに空高く舞い上がる。見渡す限り広がる森の木々が、風によって揺れ動く。二人を乗せた魔馬も風に運ばれるようにして空を飛ぶ。


 リゼはリッカの家を知っているのか、迷うこともなく真っ直ぐに魔馬を駆る。あっという間に、森を抜けて街道に出た。朝早いせいか、人通りはほとんどない。


 やがて、リッカの家の上空にたどり着くと、リゼは庭先へ降り立った。リッカも魔馬から降りると、リゼは魔馬の首筋に光る黄色い宝石を撫でながら労いの言葉をかける。魔馬は再び宝石の中に戻っていった。


 相変わらず不思議な光景だとリゼの手の中の宝石をぼんやりと見つめていると、自宅の扉が勢いよく開き、リッカの母親が駆け寄ってきた。

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