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新人魔女と本当の師匠(4)

 なぜここで国王の話が出てくるのだろうか。


 一瞬、彼女が何を言っているのか理解できなかった。それに国王の死については、まだ国民には伏せられているはずだ。


 確かエルナは、リゼの姉であるマリアンヌの命令で世話係としてここにいると言っていた。つまり、マリアンヌという人物は今回の件について既に知っているということだろう。


 疑問符を浮かべるリッカを見て、エルナが困ったように眉を下げた。それから申し訳なさそうに口を開いた。


「あの、もしかしてリッカ様は、ネージュ様のご身分をご存じないのですか……?」


 エルナの言葉に、リッカは不思議そうに答える。


「リゼさんが、この国随一の大賢者であるネージュ様ってことですか? それならもちろん知って……」


 そこまで言いかけたリッカの声を遮るようにして、エルナが慌てて言った。


「いいえ、そうではなくて……いえ、リゼラルブ様が大賢者様であることには変わりないのですが……。リゼラルブ様は、その……」


 そして、彼女の口から衝撃的な事実が告げられる。


「リゼラルブ様が、国王様の御子息、王子殿下でいらっしゃるということは……?」


 エルナの発言に、リッカは耳を疑う。


 聞き間違いだろうか。いや、確かにエルナはリゼがこの国の王子だと言った。


 リッカはあまりのことに固まってしまう。まさか、自分の雇い主が王族だとは夢にも思わなかった。


 目を見開いたまま固まるリッカに、エルナが心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫ですか、リッカ様? 本当にご存じなかったのですか?」


 エルナの声は全くリッカに届かない。


(どうしよう、自分はとんでもない人にタメ口を利いていた)


 そう考えると、途端に冷や汗が噴き出してきた。今まで自分がどんな無礼なことを言ってしまったのかと考えると、リッカは恐ろしくなってきた。


 リッカの様子を見て、エルナがオロオロと慌てる。リゼはというと、二人の会話を黙って聞いていた。だが、その表情は心底どうでもいいという様子だった。


 エルナが申し訳なさそうにリゼの方に顔を向ける。すると、リゼはハッとした様子で表情を取り繕った。


「大丈夫ですよ。エルナさん。彼女に素性を明かしていなかった私がいけないのですから」


 リゼはそう言うと、エルナに微笑み掛けた。それからリッカの方へ顔を向ける。


「おい。君はいつまで腑抜けたままでいるつもりだ」


 リッカは相変わらず放心状態だったが、リゼに話しかけられていることに気づいて、ようやく我に返る。

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