表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/461

新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!(5)

「あ、あの……リッカです。よろしくお願いします!」


 リッカも慌てて名乗り、頭を下げた。しかし、リゼはふいっと視線を逸らしてしまった。


「ふん。では失礼。何かあれば、そこの男に言え」


 そう言うと、リゼは工房の奥へと消えていった。リッカは呆然とその背中を見送った後、ジャックスに訊ねた。


「えっと……。わたし、何かやらかしちゃいましたか?」

「ああ。気にしなくていい。あいつはいつもあんな感じだ。悪気はないんだ。多分……」

「そ、そうですか……」


 リッカはリゼが消えた方をしばらく見つめた後、ジャックスに訊ねる。


「あの……それで、面接は……」

「あぁ、そうだったな。じゃあ、中に入って……」


 ジャックスが言いかけた時、工房の扉が勢い良く開いた。再び現れたリゼに、リッカは目を丸くする。


 リゼは、手に持った籠をリッカに向かって突き出した。


「薬草を採ってこい。今すぐだ」

「えっ!?」

「ジャックス、こいつについて行け」


 リッカが戸惑っている間に、リゼは再び工房に戻ってしまった。リッカがおろおろしていると、ジャックスは苦笑しながら肩に手を置いた。


「まぁ、なんだ……。とりあえず薬草採取に行くとするか」

「えっ!? あ、はい」


 二人は森へと向かうことになった。工房から少し離れた場所まで来ると、リッカはおずおずと切り出した。


「あの……とりあえず来ちゃいましたけど、一体どの薬草を採取すれば……」

「何かメモとかは受け取ってないのか?」

「メモですか?」


 リッカは首を傾げながら籠の中を見る。それらしいものは入っていない。


「……ない……ですね」


 リッカは困ったように眉尻を下げた。すると、ジャックスは笑い出す。リッカは驚いて顔を上げた。ジャックスはおかしそうな表情を浮かべて言う。


「ははっ! さすがリゼ。やることが無茶苦茶だ!」

「えぇ……」


 リッカは困惑した様子でジャックスを見た。ジャックスは咳払いをして続ける。


「まぁ、そうだな。指示がないなら、とりあえず、なんでもいいから薬草採取をしたらいいんじゃないのか?」

「うーん……そうですね。そうします」

「おう! 頑張れよ」


 リッカは薬草が生えていそうな場所を探すことにした。


 しばらく森の中を歩いていると、ふとリッカの視界の端に鮮やかな赤が映った。そちらに目を向けると、赤い花が咲いていた。近付いてみると、それは真っ赤なヒヤシンという花だった。綺麗に咲き誇るその姿はとても大きく美しく、リッカは感嘆の声を上げる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ