表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
459/461

新人魔女は、のんびり森で暮らせない?!(3)

 半ば怒鳴るようにリッカは決意を宣言する。そんなリッカに、リゼは怪訝そうに眉を寄せた。


「無理をする事はない。君は自由にすればいい」

「いいえ、無理でもなんでもやるしかないんです!」


 リッカの言葉に、リゼがその目を細める。


「何故だ?」


 リゼの問いにリッカは一瞬言葉を詰まらせた。ゴクリと唾を飲み込み、大きく深呼吸をする。そして、覚悟を決めたリッカはリゼを見据えてはっきりとした口調で言い放った。


「だって、誰にも迷惑をかけたくないんです! 無理をして与えた称号なのに、何の功績も残さずに返上なんてしたら、陛下の面目丸潰れです。陛下にご迷惑をおかけするわけにはいきません! それに家族にだって要らぬ心労を強いることになってしまいます。そんなことはしたくないんです!」


 リッカの宣言を黙って聞いていたリゼは「そうか」と静かに呟いた。そして使い魔であるグリムに何やら目配せをする。その顔はまるで悪戯が成功したときの子供のようだった。しかし、それもほんの一瞬のこと。すぐにいつもの無表情に戻る。興奮しているリッカはそんな師の些細な変化になど全く気がつかない。


「好きなことをしてのんびり暮らしたい! でも、それを叶えるために周りに迷惑をかけるのは違うと思うんです! だから称号は返上しません。ギルドの仕事も辞めません。ミーナさんやラウルさんの力にこれからもなりたい! ……それに」


 リッカはそこで一度言葉を切り、大きく息を吸い込む。そして、真っ直ぐにリゼを見た。


「それにわたしは、貴方の弟子でいたいんですっ!」

「は?」


 間の抜けた音がリゼの口から零れた。しかし、リッカは構わずに言葉を続ける。


「リゼさん。わたしは、貴方に失望されたくないっ! だから次世代を担う賢者(ジュヴェントゥス)だろうがなんだろうが、やってやりますよ! 称号返上なんて絶対にしませんから! なんなら、直ぐにでも大賢者(ネージュ)に相応しいと周りに言わせてみせますよ!」

「いや、それは流石に……」


 リゼが呆れた表情を浮かべる。興奮状態のリッカはそんな師の困惑などお構いなし。


「だから、これからもわたしをちゃんと見ていてくださいよ!」


 リッカは一気にそう言うと「フン」と鼻を鳴らした。


「話はそれだけです。わたしは忙しいので作業場へ戻ります」


 リッカはリゼの返事も待たずに工房から飛び出していった。そんな弟子の姿をリゼはポカンと見送る。そして、しばらくそのまま固まっていたが、我に返ると「はぁ?」と大きな声を上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ