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新人魔女に重く圧し掛かるもの(3)

 しかし、それから彼は少しだけ顔を引き締める。その表情から、ジャックスが真剣な話をしようとしているのだと分かったリッカは、ムスッとしながらも彼の話に耳を傾ける姿勢を見せた。それを確認したジャックスが、静かに話し出す。


「きっと嬢ちゃんは突然のことに驚いたことだろう。俺たちだって驚いた。新たな称号が授けられたこともそうだが、何より、国がそれを学校を出たばかりの嬢ちゃんに与えたことに衝撃を受けた。嬢ちゃんは本来ならまだ見習いであるはずの年端も行かないひよっ子だ。普通なら誰だってそんな子供に何故と疑問に思うだろう。現に、嬢ちゃん自身が納得していないもんな」


 リッカはジャックスの言葉に小さく頷く。ジャックスはそれを見てから、話を続けた。


「俺は新国王様のことはよく知らんが、リゼのことならよく知っている。あいつは優秀だ。それ故に頑固者で、他人を頼ることは滅多にない。そんなあいつが嬢ちゃんに任せたいと思ったんだ。面倒くさい国のしきたりや、お偉方の説得……をしたのかは知らんが、そういうしがらみがあっても、嬢ちゃんにこの称号を託したかったんだ。それは、あいつが嬢ちゃんを信頼しているからだと俺は思う。称号持ちなんて、なりたくてもなれるもんじゃねぇ。実力はもちろん、他人からの信頼がなきゃなれやしねぇ。嬢ちゃんには、それに足る実力も信頼もあるってことだ。皆それが分かるから、嬢ちゃんを『次世代を担う賢者(ジュヴェントゥス)』様と呼ぶんだ。いくらお偉方が決めたことだとはいえ、納得がいかなけりゃ俺たちは従わない。国ってのは、そういうもんだ。だから、嬢ちゃんが『次世代を担う賢者(ジュヴェントゥス)』と呼ばれることにはそれなりの意味がある」


 ジャックスの言葉にリッカはグッと唇を噛み締めた。そんなリッカにジャックスは「だがな」と言って続ける。


「称号を貰ったからには、その期待に応える責任が伴うのもまた事実だ。それは、きっと嬢ちゃんのその細っこい肩には少しばかり重いかもしれん。そんな時は、俺たちを頼れ。俺たちには嬢ちゃんのような力も知識もないが、少なくとも話を聞くことはできる。それに、称号持ちになったからと言って、リゼの奴のように一人で抱え込むことはねぇんだ」


 ジャックスの真っ直ぐな視線を受けリッカはしばし躊躇う。「でも」と口にしながら視線を彷徨わせていると、煮え切らない様子のリッカの頭にジャックスの大きな手がポンと置かれた。そしてそのまま優しく撫でる。

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