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新人魔女を包む家族の愛(1)

 リッカはリゼを作業場に引き留め議論を交わしている間に、セバンたちに水晶の加工をさせた。そして、出来上がった水晶人形の一体をリゼに渡した。試作品の協力をグリムに依頼したときのように、リゼも面倒くさそうな顔をしたが、そこはエルナの名前を出せば解決した。そもそも、魔道具の作成はリゼがリッカに依頼したことなのだ。面倒だろうがなんだろうが、協力してもらわなければ困るというものである。


 ちなみに、試作品は予想よりも早く完成した。使い魔はいうなれば魔力の塊のようなものなのだから、一週間も待つ必要はない。水晶であれば一日も身に付けていれば十分に己の魔力で染め上げているだろうという助言をリゼから受けたのだ。


 リッカは自身の影の中で眠っていたフェンを呼び出し、二匹の使い魔から水晶人形を回収した。そして、精霊付与の魔法をかける。その後、あらかじめ作成しておいた台座にそれぞれの水晶人形を設置して、持ち主の片割れであるフェンに魔道具を起動してもらった。


 ビンの中で弱い風が吹いた。風はシェルパウダーを舞い上げ、まるでビンの中に雪が降っているかのようだった。やがて精霊が付与された二体の水晶人形が淡く輝き出す。そして、雪のカーテンに水晶人形から投影されたフェンとグリムが映し出された。フェンの特訓の様子を少し離れた場所からグリムが見守っている。どうやら、昼間おこなっていた使い魔たちの特訓を映し出しているようだった。


 思い出というには少々美しさに欠ける映像ではあったが、それでも、リッカは食い入るようにその映像に見入った。水晶人形による思い出の投影は、雪に見立てたシェルパウダーがビンの中で舞っている間続いた。その間、リゼはつまらなさそうにしながらも、リッカの隣でじっとその様子を眺めていた。やがてシェルパウダーがすべて舞い終わると、映像は消えた。そして、同時に水晶人形の輝きも消えた。


「なるほどな」


 リゼは納得したように呟いた。


「やはりこの魔道具の有用性については理解し難い。だが、女性には喜ばれるものになるのだろうな」


 こうして、肯定的ではないにしろリッカはリゼからお墨付きをもらったのだった。


 議論と作業に精を出したリッカは、結局夜が明けてから家に戻った。


「お帰りなさい」


 転移魔法陣を使って帰ると、エルナがリッカを出迎えた。


「ただいま帰りました。こんなに朝早くお姉様のお部屋へお邪魔することになってしまって申し訳ありません」

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