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新人魔女の使い魔と師匠の使い魔(8)

 あの頃は働き始めたばかりで右も左も分からなかった。使い魔を持ったことも初めてで、何が当たり前で何が変わったことなのかの判断などつくわけがなかった。それは今も同じだが。そう思いながらリッカは白猫へ助けを求める。


「グリムさん」

「なんや?」

「もしかして、あの時既にフェンは他の使い魔と違ったのでしょうか?」

「他と違うかどうかは知らんけど。まぁ、わいとは明らかに違ったな」


 白猫は素っ気なく答えた。リゼがピクリと眉を動かした。


「……ほう? 初めからお前と違ったのか」

「せや。アレは生まれたその時から魔法を使っていた」

「え? そうでしたっけ?」


 リッカは驚いて白猫を見る。白猫は気のない様子で尻尾をゆらりと振った。


「あれは時々姿を変えるやろ。それかて、魔法や。いわゆる光属性の魔法やな」


 白猫の言葉にリッカは目を丸くする。確かフェンは小鳥などに姿を変えることがあるが、まさかそれも使い魔の特性ではなく魔法によるものだとは思わなかった。さすがのリゼも驚いたように白猫を見ている。


「それが本当ならば、全属性持ちと言うことになるな」

「ま、待ってください。確かにフェンは五大属性魔法が使えますし、グリムさんの言う通りならば光魔法も使えるのかもしれません。でも、闇属性は……」


 リゼの言葉をリッカは慌てて否定する。しかし、それをリゼは呆れたように遮った。


「君は何を言っている。使い魔は元々闇属性だ」

「え?」


 リッカは驚いたように目を見開いた。


「闇属性だからそこ、使い魔は主の影に入れる。当然のことだろう」


 リゼの言葉に白猫が同意するように頷く。リッカは二人の顔を見回した。


「そ、そうだったのですか? 全く知りませんでした」

「君は本当に無知だな」


 リゼの辛辣な言葉に、リッカは思わず項垂れる。


「どうやら本当に勉強不足のようです。まだまだですね」

「まったくだ。そんなことでは……」


 リゼは何かを言いかけて言葉を飲み込んだ。リゼはリッカの無知を馬鹿にする。しかし、その知識不足を補うために手を貸すことも惜しまない。


「まぁいい。それよりもフェンとグリムの違いだ」


 リゼに促されて、リッカは気を取り直す。


「そうですね」

「私が思うに、君の使い魔の特異点は食事をするということだ。今後は、食事が使い魔に与える影響を検証してみるのが良いだろう」

「はい」


 リッカは大きく頷く。指針が示されたからだろう。幾分表情が明るい。新しい研究に今から心が躍っているようだった。

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