新人魔女は、やっぱりすごい!?(8)
ミーナの言葉にリッカはホッとした様子で頷く。自分の求める物を何でも生み出すリッカだったが、やはりまだ出来ないことも多い。それを思うと、少なからず悔しさを感じずにはいられなかった。しかし一般的に見れば、彼女の年頃でこれだけ出来れば十分優秀なのである。
取引相手であるミーナは特段不満に思っている様子もなく、むしろ、リッカに感心していた。
「だけど、本当に銅貨一枚でいいの?」
「はい。後は、結晶の魔力がなくなっても続けてセバンを使われるようでしたら、その時に追加料金をいただきます。それに、別件で既に契約していただいていますから」
リッカの言葉にミーナは大きく頷く。
「わかったわ。契約お願いします。でも、本当に驚いたわ。宝石を量り売りしろだなんて。基本宝石は、そのままの大きさで取引されるものよ。普通は小さくしてしまっては価値が損なわれるし、石工を雇う必要もあるから損ばかりだもの。でもその用途もきちんと考えて提案するなんて、リッカちゃんもエルナ様も素晴らしいわ」
「別にそんな……。量り売りも、その用途を考え付いたのもお姉様ですから。わたしは解決案を提案しただけなので」
ミーナが褒め称えるとリッカは少し照れたように頬を染めた。ミーナがあまりにも手放しで褒めるものだから、書類作成をしていたギルド長のオリバーも思わず口を挟む。
「エルナ様とは、以前オークションにいらしていたお嬢さんですな。そうですか。あのお方もご聡明な方なのですね」
オリバーの言葉に、リッカはにっこりと微笑む。エルナを褒められるのは自分のことの様に嬉しかった。
「お姉様はとても凄いのですよ。実は、ミーナさんからの依頼を二種類のアイテムに分けてはどうかとご助言くださったのもお姉様なのです」
リッカは納品がてら、ミーナに依頼されていたアイテム二種類を商談机の上に置いた。
「こちらは、主に魔力がない人向けのアイテムになります。瓶の蓋に埋め込まれている風の水晶に触れることで瓶の中に小さな風が起きて、雪に見立てたシェルパウダーが瓶の中を舞うんです。これはまとまった数の在庫をミーナさんのお店へ卸します」
リッカの説明にミーナとオリバーが納得したように頷いた。
「それからこちらは多少魔力がある人向けに。精霊が付与されているので、少々値は張ります。あの宝石から切り出した物と併せてオーダーメイドという形を取ります。ご注文がありましたら、わたしへご連絡ください」