新人魔女は、やっぱりすごい!?(7)
リッカは慌てて止めに入った。
「み、ミーナさん? ギルド長はいろいろと良くしてくれていますよ」
「いいえ! これはお義父さんへの教育的指導よ!」
ミーナはそう言うと戸惑うオリバーにグイっと詰め寄り、いかにラウルのところで働いているセバンたちが可愛いかを語り始めた。ミーナの熱弁によりオリバーはぐったりと疲弊しきった様子で頷いた。
「はぁ……わかりましたよ……あなたには敵わないな」
「良かったわ! それじゃあ、今日の帰り、一緒にラウル君のお店へ行きましょう。その後、うちで夕食を食べて行けばいいわ」
ミーナが最後にさり気なく付け加えた言葉に、オリバーは苦笑する。
二人の様子を見てリッカは思わずなるほどと思った。ミーナの少々強引な誘いはオリバーを家へ誘うためのようだった。
物怖じせず義父に意見するミーナと、困った顔を見せつつもどこか嬉しそうなギルド長。そこに嫁と義父という他人行儀な壁はなく、紛れもなく家族の姿のそれであった。
リッカは感心しつつも、彼女のその強引さに思わずクスリと笑ってしまう。そんな様子に気付いたミーナがリッカへ視線を向けた。ミーナの視線に気付いたリッカは、慌てて居住まいを正し口を開く。
「では、ミーナさんのお店で石工として働く子は、都度呼び出してもらうと言うことで」
リッカは鞄の中からセバンを呼び出す道具を取り出して机の上に置いた。ミーナは興味深そうにその道具を見つめると、手に取ってまじまじと見る。
リッカが使い方を説明すると、オリバーは感心した様子で頷いた。
「うむ。商品説明もスムーズですし、分かりやすいですな」
一方ミーナは、目の前でパフォーマンスをするセバンを可愛がりながらも、首を傾げる。
「でも、ラウル君のところとは少し違うのね。確か、あの子たちは白色だったと思うけど、この子は茶色なのね」
「ああ、あの子たちの原材料は小麦粉ですから。飲食店で土人形というのはダメだと言われまして」
「なるほど。確かに。つまり、店ごとにあったセバンを派遣するということね」
「はい。とは言っても、そんなにバリエーションがあるわけではないんです。柔らかすぎず固すぎず、彼らの形を保てる素材でないと……本当はあの宝石を元にできると良いかなと思ったんですけど、さすがに鉱物は硬すぎるので」
リッカの説明にミーナは頷く。それから問題ないと言う様に首を横に振った。
「そこまではいいわ。あの宝石から定量を切り出す一時のことだもの」