新人魔女は、やっぱりすごい!?(6)
リッカは屋敷へ戻り昼食を摂ったのち、一人で商業ギルドへとやって来た。
今日はこれから、ミーナの店の例の巨大宝石の扱いについて詳細を詰めることになっている。
受付で名前を告げるとすぐにギルド長室へと通された。本日の会合の手配は昨日のうちにミーナがしてくれていた。部屋へ入ると、前回同様にギルド長が立ち上がってリッカを出迎えてくれる。ミーナも既にギルド長室にて待機していた。
「お待たせしてしまいましたか?」
「やぁ、お嬢さん。大丈夫ですよ。まだ約束の十分前ですから」
ギルド長のオリバーは相変わらず好々爺といった様子で、ニコニコと笑っている。
「しかし、こう立て続けに仕事の契約をされるとは、お嬢さんは商才がおありのようですな」
オリバーは感心したようにリッカを見る。リッカは、少し困ったように笑った。リッカにしてみれば今回の商談はただのおせっかいである。素直に肯定も否定もしづらかったので、話題を変えた。
「ところでミーナさん。セバンの形態にご希望はありますか?」
リッカはミーナへ話を振る。ミーナは頬に手を当てると、少し考え込んだ。
「そうねぇ……。うちはあまり人手を必要とする店ではないのよ。だから、ラウル君のところのように常に働いて欲しいわけじゃなくて、宝石を砕くときにだけ居てくれればいいのだけど」
ミーナの言葉にリッカは頷いた。
「その点は問題ありません。セバンは基本的に、使いたい時だけ魔力で生み出すものなので」
その言葉にミーナは少し驚いたように目を見開く。
「まあ! そうなの? ラウル君の店はいつ行ってもあの子たちが働いているから、常時いるものだと思っていたわ」
「確かに、ラウルさんの店の子たちは、開店中は動いています。でも、ラウルさんがいない時間は魔法が解除されているようですよ」
「へぇ……そんなこと出来るのね……」
ミーナが感心したように頷いたとき、ギルド長のオリバーが興味深げに口を挟んだ。
「ほう。あの土人形は上手く稼働しているということですね」
その言葉にミーナは驚いたようにオリバーを見る。
「まぁ! お義父さんはまだあの子たちを見ていないの?」
「いえ。セバンと言いましたかな? お嬢さんにここで見せてもらいましたが……」
「それではダメよ! 仮にもギルド長としてリッカちゃんに工房経営を指南している立場なのでしょ? だったら、ちゃんと彼女のお仕事ぶりを確認しなくちゃ」
「え?」
ミーナの勢いに押され、オリバーはたじろぐ。