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新人魔女は、やっぱりすごい!?(5)

「そうです。ほらあそこの魔法陣から」


 リッカが指さす先では、雪を降らせるための魔法陣が淡く光っていた。


「この手元の魔法陣と連動させてあるので、ここに魔力を流せば上から雪が降るという仕組みなんです」

「本当にリッカさんはすごいですね。色々なことを考えついて」


 エルナは感心したようにリッカを見た。


「そんなことないですよ。わたしは自分に必要だと思うものを形にしているだけなので」

「それがすごいことなのですよ! (わたくし)にはそんな力はありませんから」


 エルナはどこか寂しそうに笑った。リッカはそんなエルナをじっと見る。


「お姉様はよく他の人に助言をされるじゃないですか。それって人を見ているからですよね。だから、いつも新しいアイディアやアドバイスが生まれる。わたしはそちらの方がよほど凄いと思いますよ」


 リッカの言葉にエルナは少し照れたように微笑んだ。


 二人はその後も他愛ない話を続けながらセバンたちの作業の様子を見て回り、時には一緒に作業をして午前の時間を過ごした。


「このように優秀なセバンたちがいれば、私がこの工房でお手伝いすることなどありませんわね」


 作業を終えて屋敷へ戻る際エルナは、寂しそうに呟いた。リッカはそんなエルナの呟きに慌てて首を振る。


「そんなことはありません。セバンたちは指示をしたことは忠実に実行します。でも、考えることはあまり得意ではありません。お姉様のように素敵なアイディアを考えつくことはありませんし、アドバイスもくれません。それに、これが一番重要なことですが……」


 リッカは真面目な顔でエルナの手を取った。


「この子たちは、お姉様のように美味しいお料理は作れません」

「まぁ!」


 エルナは思わずクスリと笑った。


「これはわたしがいつも思っていることなのですが、出来ないことを考えるより、出来ることを全力で取り組む方が良いと思います。だから、お姉様も……ね」


 リッカの言葉にエルナはそっと頷く。


「ありがとうございます。そうですね。私に出来ること、それを考えることが大切ですね」


 リッカはエルナの手を握ったまま微笑む。


「さあ、ではそろそろ屋敷へ戻りましょう。帰りは、お姉様が魔法陣を起動させてみてください。起動キーの作動確認もしておかなくては」


 エルナは頷くと、転移魔法陣の起動キーである水晶を魔法陣へと押し当てる。転移陣は淡く光り出し問題なく起動した。


 そしてリッカとエルナは、再び転移空間を通って屋敷へ戻ったのだった。

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