新人魔女は、やっぱりすごい!?(3)
「あ、あの、触ってみてもよろしいかしら?」
おずおずと尋ねるエルナに、リッカは笑顔で頷くと一体を手に乗せ、エルナの前に差し出した。
「どうぞ」
差し出されたセバンを、エルナはそっと受け取った。その体は思いの外柔らかく、そして温かい。エルナの手のひらに乗ったセバンは、自身をアピールするようにいろいろなポーズをとる。そんな愛嬌ある振る舞いに、エルナは思わず笑みを漏らした。
「まぁ! ふふ、可愛らしい」
「この子の中央部にあるのが魔核です。これがあることで、この子たちは常にこの形を保っていられて、こちらの指示を永続的に行うことができるのです。ラウルさんのところの子たちには魔核がありませんので、毎回支持を与え直さなければいけないのです」
リッカの補足に、エルナは興味深そうに魔核を見つめた。
「でも、どちらにしても、危険はなくお手伝いをしてくれるのでしょう? しかも、この可愛らしさ。素晴らしいですね。私、この様な魔法があるなんて知りませんでした」
エルナの素直な反応にリッカは嬉しそうに笑う。
「この魔法は、わたしがゴーレムの魔法陣を改良して作った魔法なので、一般的には知られていないのです。リゼさんも使えない魔法ですよ」
「まぁ! それはすごい!」
エルナに尊敬の眼差しを向けられ、リッカは照れたように頬を掻く。そんな二人の様子を見ていたセバンたちは、自分たちも褒めてとアピールするように飛び跳ねる。エルナはその様子を見て楽しそうにクスクスと笑った。
その後リッカはエルナを連れて各作業場所を回る。
「この装置は、特殊な水を作っているんです。あ、あまりじっくり見てはダメですよ。幻惑効果があるのです」
リッカが説明をしている横で、エルナは水桶に溜まった水に顔を近づけていた。リッカの注意に弾かれたように顔を上げたエルナをリッカはクスクスと笑う。それから、いつも通りセバンに進捗確認をしてから、次の作業場所へと移る。
「まぁ、こんなところに可愛らしい遊具が」
作業場内にある遊具をエルナが興味深そうに見やる。
「ここは……セバンたちの遊び場ですか?」
エルナの問いにリッカは笑いながら首を振る。
「いいえ。遊びながらでも仕事が出来るようになっているのです」
「まぁ。それは効率的ですね。こちらはどのようにして使うのか見てみたいですわ」
エルナは瞳を輝かせてリッカに頼む。
「では、設置したばかりのものがあるので、試験運転も兼ねて動かしてみましょう」