新人魔女は、やっぱりすごい!?(2)
転移空間を抜け、リッカとエルナは一気にリッカの作業場へたどり着いた。
エルナはというと、転移陣から一歩踏み出したところで固まっていた。ホッと息を吐くとともに振り返る。そして、転移魔法陣が消えていることに驚き、思わずといった様子で声を上げた。
「本当に一瞬の移動でしたね!」
エルナはリッカの手を両手で掴みブンブンと上下に振る。いつものおっとりとした様子とは違い、随分と興奮しているようだ。
「ふふふ、そうですね」
リッカはエルナを宥めるように笑いかける。エルナはようやく自分の行動に気づき、顔を真っ赤に染めた。それから周囲を見回して首を傾げる。
「ですが、ここは一体……?」
リッカの作業場が建てられてから、エルナはまだ一度もここに足を踏み入れたことはなかった。物珍しそうに周囲を見回していたエルナは、それぞれの持ち場で働くセバンに気づくと、「あら」と声を上げた。
「あれは、ラウルさんのお店にいた……確か、セバンと言ったかしら?」
「そうです。ここはリゼさんに作って頂いた、わたしの作業場なんですよ。わたしがいない時でも、この作業場内でこうしてセバンたちがお仕事をしてくれています」
リッカの話を聞きながら、エルナはその姿を微笑ましそうに見ていた。
「すごいです! あら? でも、ラウルさんのところにいた子とは少々違うようですね?」
興味深そうに作業場内やセバンを見ているエルナのために、リッカは少し作業場を案内することにした。
まずは、セバンたちを呼び集める。
「みんな、集まって」
リッカの声に反応して、セバンたちが作業の手を止めてリッカとエルナの足下へわらわらと集まってきた。
「お姉様、この作業場ではこの六体が働いています。ラウルさんのところの子たちと違う点は、この子たちの材質と、魔核を有していることでしょうか?」
「材質と魔核?」
「ええ。ラウルさんのところは、小麦粉でセバンの体を形成していますが、本来は、この子たちのように土を元にして作ります。この子たちはいわゆる、ゴーレムなんですよ」
「ええ!? ゴーレムですか? ゴーレムって、あの巨大土人形……」
セバンを紹介するときのお決まりの文句に、リッカは苦笑する。
「そうです。この子たちはアレを改良したんですよ。でも、全く危険はないので安心してください」
エルナは信じられないといった様子でセバンたちを繁々と見回す。足下を動き回るセバンたちは確かに凶暴さとはかけ離れていて可愛らしい。