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新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(8)

 生クリームの甘さと果物の酸味が口いっぱいに広がる。スポンジケーキも程よく甘く、そのバランスに思わず頬が緩んだ。エルナも幸せそうな顔をしている。ジャックスもケーキを口にして思わずといった様子で唸り、そんなジャックスをミーナが茶化す。


 和やかな雰囲気の中、皆それぞれにケーキを堪能する。しばらくして一息つくと、幸せの余韻に浸っているミーナにエルナが声をかけた。


「ミーナ先生、(わたくし)少し考えたのですが」


 ミーナがエルナに視線を向ける。


「あの宝石を量り売りのように小売りにするのはどうでしょう?」


 エルナの言葉に途端にミーナは難しそうな表情を浮かべた。


「宝石を砕くということかしら?」


 ミーナの問にエルナが頷く。


「はい。大きすぎて純度の鑑定が出来ないのならば、いっそ砕いてしまえば良いのではと思いまして」

「でも……あれはあの大きさだから価値があると思うのよ」


 ミーナは難色を示す。確かにあの大きさの宝石は珍しいだろうが、売れなければ店にとってはただのお荷物だ。リッカはエルナの案が現実的には良いのだろうと内心では思っていた。しかし、ミーナの様子を見るにそれが簡単にはいかないことも何となく理解できた。


 エルナとリッカの目線がジャックスへと向けられる。視線を受けたジャックスは大きなため息を吐いた。


「まぁなぁ。利益を考えるならば、それが一番現実的なんだろうが……」


 ただ、砕くとなれば石工を雇うしかなく、その分費用が嵩む。また、砕いた後は石が一体いくつになるのかは分からないが、それらを加工しなければ売り物としては使えないだろうという。石工を雇うのにも、加工をするのにも費用がかかるので、利益を上げるためには一体どれだけ売り捌かなければならないのかとジャックスは眉を顰める。


「あれは、大きさが売りだと思うの。砕いてしまってはあまり意味がないわ」


 ミーナは、納得しきれないといった様子で腕を組んだまま唸った。エルナはそんなミーナに微笑みかける。


「だからこその量り売りなのです。その大きさを活かしましょう。石工を雇う必要はありません。店内で砕けば良いのです。きっとそれ自体がお店の目玉になるはずです」


 エルナの言葉に、ミーナは目を丸くする。


「確かにそれは注目されそうだけど、でも、石工でもない私に宝石が砕けるかしら?」


 ミーナは腕を組んだまま「うーん」と唸った。その時、リッカがスッと手を挙げる。


「それでしたら、わたしがお役に立てるかも」

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