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新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(7)

 ジャックスは、それだけ言うと大きなため息を吐いた。そのため息を聞きながらリッカは、何か良い案はないだろうかと思考を巡らせる。


 ジャックスは片付けの手を止めて、リッカたちの方へ向き直った。


「嬢ちゃんたちは何か良い案がねぇか? 俺も色々考えてはいるんだが……どうにも思いつかなくてな」


 ジャックスの問いに、リッカは腕を組んで考える。その横でエルナが何かを閃いたように口を開いた。


「そうですね……。例えばですが……」


 エルナがそう呟いた時、店の奥からミーナが現れた。


「お待たせ! さぁ、お茶にしましょう」


 リッカ達のいるテーブルへやって来たミーナは、店の片づけを終わらせたジャックスに礼を言う。


「閉店作業ありがとう。あなたも、一緒にお茶にしましょう」

「あぁ、そうだな」


 ジャックスの意志を確認したミーナは人数分のお茶を入れ始めた。


「それで? 今日は一体どんなケーキなの?」


 ミーナが期待に満ちた目でリッカを見る。そんな視線を一身に浴びたリッカは苦笑をこぼしながら答えた。


「実はまだわたしたちも知らないんです。早速、開けてみましょう」


 そして、テーブルに置かれたスイート・ミッションの包みを開封する。箱の中から出てきたケーキにエルナが感嘆の声を上げた。


「まぁ! なんて美しいのでしょう」


 ラウルの新作ケーキは果物を砂糖でコーティングした物がメインのようだった。スポンジケーキを覆うようにふんだんに塗られた生クリームは滑らかで、その上にはカットされコーティングされた果物が丁寧に並べられている。宝石のような見た目で、キラキラとした光を放っているそれは、まるで雪原に大きな宝石が屹立しているようでとても美しい。リッカたちは暫し見とれた。


 ジャックスが席に着きながらテーブルに出されたケーキを見て目を細める。


「ほぉ~、これはすごいな」

「本当に。食べるのが勿体ないわ」


 ケーキは全部で六つ入っていた。それぞれに違う果物が使われている。各々好きなケーキを取り、その美しい見た目に再度感嘆の声を上げた。


 リッカは自身の皿に取ったケーキをじっくりと眺める。それは、赤く色づいた果物がコーティングされたケーキで、スポンジケーキもうっすらと赤みを帯びていた。隣に座るエルナの皿をチラリとみれば、彼女のケーキは黄色の果物が主役らしい。土台となるスポンジもそれに合わせた色になっている。どうやら、それぞれに味が違いそうだ。リッカは、自身のケーキを一口頬張った。

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