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新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(6)

「先ほどラウルさんのお店へ立ち寄ったのですけれど、新作のケーキを頂いたのです。よろしかったら一緒に食べませんか?」


 リッカのその言葉にミーナの目が輝く。


「あら! それは楽しみね!」


 ミーナはラウルの店のスイーツが好きなのだろう。鼻歌混じりにお茶の準備へ向かった。


 後に残ったリッカとエルナは店の椅子に腰掛ける。店の片づけをしながらジャックスが二人に声をかけた。


「いやぁ助かったぜ、嬢ちゃんたち。ミーナのやつ、最近どうも怒りっぽくてな」


 そう言ってジャックスは呆れたように笑う。


(怒りっぽいというか、拗ねていただけなのでは?)


 リッカは内心でそう思いながらも、どのように反応してよいか分からず思わず苦笑を浮かべた。その横でエルナは真剣な顔でアドバイスを口にする。


「妊婦の方は、感情が不安定になりがちだと本で読みました。ミーナ先生をあまり責めないであげてくださいね」


 エルナの言葉にジャックスは驚いた。


「そうなのか? それは知らなかった。いやぁまぁ、そういうことなら仕方ねぇなぁ」


 ジャックスは、がははと笑う。ジャックスのこういった大らかな性格が、実際ミーナを支えているのだろう。そう思うとリッカの頬が小さく緩む。


「ところで、ジャックスさんとミーナさんは、今日はこの後予定があるのですか?」


 リッカの問いかけにジャックスは不可解そうな顔を見せる。


「いや、特に予定はないが何故だ?」

「だって、もうお店を閉めているので」

「ああ。そう言うことか」


 ジャックスは納得する。


「あいつの腹もそろそろ出て来たからな。あまり無理をしない様、店は早めに閉めるよう言っているんだ。……しかし、これがなかなか」


 ジャックスが難しい顔をして店の奥へ視線を投げる。そんなジャックスを見てリッカとエルナは笑みを浮かべた。


「ミーナ先生は、お仕事がお好きですからね」

「そうなんだよ。こっちが心配して言っているのに、聞きやしない。だから、とりあえずは週に一度、店を早く閉めることで納得させたんだが……。まぁ、あいつもいろいろと思うところがあって焦っているのかもしれんがな」


 ジャックスはそう言って苦笑した。ジャックスの含みのある物言いに、リッカはなるほどと内心頷いた。


「やはり、あの宝石のことですか?」


 リッカがジャックスにそう尋ねると、ジャックスはガシガシと頭を搔く。


「まぁ……呑気なことを言っているが、内心では気にしているんじゃないか? 金貨八〇〇枚はさすがにな」

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