表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
404/461

新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(4)

 リッカとエルナはラウルから貰ったケーキを手にミーナの店へやって来た。


「こんにちは、ミーナさん」


 二人が声をかけながら店へ入ると、それに気付いたミーナが笑顔で挨拶を返す。


「あら? いらっしゃい」

「ミーナ先生、こんにちは。本日はお手紙に書いてあった宝石を見せていただければと伺いました」


 エルナがそう言うと、ミーナはにこりと微笑んだ。


「ああ、アレね。どうぞ。ちょうど先ほどまで商談のために出していたから、まだ見られますよ」


 三人は店の奥へと進む。案内された場所には、布で仕切られた一角がありその奥に件の宝石があるようだった。リッカとエルナは、少し落ち着かない様子で辺りを見回す。そんな二人の様子を見て、ミーナはクスリと笑みを零した。


「店とは雰囲気が違って落ち着かないかしら? ここは所謂VIPルームというやつでね。高価な品の商談の際に使う部屋なの。ほら、あれよ」


 ミーナが示した先、布の向こうへ目を遣ると、そこには大きな宝石の箱があった。エルナとリッカはその箱に釘付けとなったように視線が動かせなくなった。


「やっぱり大きいですね」


 思わずそう呟いたリッカにミーナが頷く。


「ええ、本当に。これは店の目玉になると思ってオークションで競り落としたんだけどね……」


 ミーナはそう言って、困ったように眉尻を下げた。そんなミーナの様子にリッカが首を傾げる。


「何か問題でも?」

「ええ。オークションの時にも大きすぎるので純度の鑑定をしていないと言っていたけど、本当に鑑定出来る人がいないみたいなの。何人かの鑑定人に依頼したのだけど、皆、匙を投げてしまって」


 ミーナはそう言ってため息をつく。エルナはその宝石箱から視線を外すと、何か言いたそうにリッカを見た。リッカもその視線に気づき、肩をすくめる。流石のリッカも宝石の鑑定スキルは持ち合わせていない。


 ただ、見た感じではリッカが行く洞窟にある水晶と同程度の純度ではありそうだった。


「ミーナ先生、因みにコレの使い道はどの様にお考えなのですか?」

「店の目玉商品にするつもりだったの。とは言っても、コレほどの物だから、すぐに買い手は付かないだろうから、しばらくは集客アイテムになるだろうと思っていたのだけど」


 エルナの質問にミーナがそう答える。


「でも結局、鑑定が出来ないから、今のところ無価値なのよ、コレ。価値のないものを集客に使うわけにもいかないでしょ? だから、今は特別な方にのみお見せしているの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ