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新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(3)

「こんにちは、セバン」


 リッカは足下のセバンに挨拶をした。すると、セバンもそれに答えるかのようにペコリと頭を下げた。そして、頭上で大きくバッテンを作って見せた。


「リッカさん! 何ですか、この子は!?」


 エルナは目を輝かせ、興奮した様子でリッカに問いかける。その勢いに思わず苦笑いしながらもリッカはエルナの問いに答えた。


「この子がお姉様にご紹介したかった子です。『セバン』と言って、先日からラウルさんをお手伝いしているのです」

「まぁ! セバンと言うのですね。なんて可愛らしいのでしょう」


 エルナがそう言うと、セバンはどこか照れたように俯いてモジモジとした。その反応にリッカとエルナは顔を見合わせ微笑む。そんな二人の様子をカウンター越しに見ていたラウルが声を掛けてきた。


「随分賑やかだと思って見に来てみれば、リッカちゃんたちだったのか」

「あ、ラウルさん。騒がしくしてしまってごめんなさい」


 リッカは謝罪しつつカウンターへ歩み寄った。


「いや、いいよ。それより今日はどうしたんだい? 生憎と、テーブル席は満席なんだけど……」


 ラウルが申し訳なさそうにリッカに告げる。その言葉に合わせる様に、セバンはもう一度頭上でバッテンを作ってから、ペコリと頭を下げた。


「いえ、大丈夫です。今日はこれからミーナさんのお店へ行くので、その手土産を買いに寄らせて貰いました」

「あ、そうなんだ。ならちょうど良かった」


 ラウルはそう言うと、一度奥へ引っ込み、手に小さな包みを持って戻ってきた。


「これ良かったら持って行ってよ」


 ラウルはそう言うとリッカに包みを手渡す。


「これは?」


 リッカが首を傾げるとラウルは笑いながら答えた。


「新作のケーキだよ。お代はいらないから感想を聞かせて欲しいな」

「え!? そんな! お代くらい払わせてください」


 リッカは慌ててラウルに言うが、ラウルは首を横に振る。


「リッカちゃんにはお世話になりっぱなしだからね。こうして新作を作る余裕が出来たのも、君のおかげなんだから、遠慮なんてしないでくれ」


 ラウルはそう言ってリッカに笑いかけた。その笑顔に押しきられた形でリッカはケーキの包みを受け取ると、改めて礼を述べた。


「こちらこそ、いつも美味しいスイーツをありがとうございます」

「また、いつでも来てね」


 ラウルはリッカにそう言うとカウンターの奥へと戻って行った。


「それでは行きましょうか」

「ええ」


 エルナとリッカはセバンに手を振り、店を後にした。

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