新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(2)
「お姉様ったら……。無理はしないでくださいね」
リッカはエルナの実直さにため息を吐いた。
「それよりもリッカさん」
エルナはそう言って話題を変える。
「本日のご予定は?」
「特に予定はありませんけれど」
「まぁ! それでしたら、私と出かけませんか? 本日はミーナ先生のお店へ伺おうと思っていたのです」
「ええ、もちろん構いませんよ。依頼されていた品の進捗状況の報告にも行かなければと思っていたので、ちょうど良いです」
リッカがそう言うと、エルナはクスリと笑う。
「リッカさんは、お休みの日もお仕事のことばかりですわね」
「あはは。本当ですね」
二人は一頻り笑い合うと自室へ戻り各々外出支度を調えた。
「では、参りましょうか」
エルナはリッカにそう声をかけると玄関の扉を開く。
「お姉様、今日はどう言ったご用事でミーナさんのお店に?」
「実は、先日ミーナ先生にお手紙を出しましたら、どうやらオークションで購入されたあの大きな宝石が納品されたのですって。それで、見に来ませんか? とお誘い頂きましたの」
「あの大きな宝石ですか!?」
リッカはギルドのオークションで目にした、巨大な宝石のことを思い浮かべた。
「ええ。せっかくですからリッカさんもご一緒にと思いまして」
「それは楽しみですね! あの宝石、あまりにも大きすぎて、一体どれほどの価値があるのか見当もつかないとオークションでも言っていましたものね。それほどの物が間近で見られるなんて!」
「本当に、貴重な経験でしょうね」
リッカの言葉にエルナが笑みを浮かべる。
「そうだ。お姉様は最近、ラウルさんのお店へは行かれましたか?」
「いいえ。伺っておりませんわ」
リッカの問いにエルナが首を左右に振る。
「では、本日は一緒にラウルさんのお店へも行きませんか? ミーナさんへの手土産を買いましょう。それに、お姉様にご紹介したい子たちがいるのです」
「まぁ、どなたかしら?」
「それは行ってみてのお楽しみです」
二人はそんな話をしながら街へと繰り出した。
「こんにちは~」
リッカとエルナがラウルの店の扉を開くと、店内は既に大勢の客で賑わっている。飲食スペースは満席のようだった。
「相変わらずの人気ですね。お手伝いした方が良いかしら?」
エルナが店内を見て、そんな感想を呟く。
「今日は大丈夫ですよ」
リッカがエルナにそう言って笑いかけていると、足下に白いセバンが一体トコトコとやって来た。それを見たエルナが驚いたように目を見開く。