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新人魔女と大きな宝石と新作スイーツ(1)

 新人魔女のリッカは久しぶりにのんびりとした休日を送っていた。リッカが何をしようかと考えながらリビングで寛いでいると、エルナがやってきた。


「おはようございます、リッカさん」

「あ、おはようございますお姉様」


 リッカは挨拶を返すとソファから立ち上がった。そしてエルナに椅子を勧める。


「どうぞ、お姉様」

「ありがとうございます」


 エルナは勧められた椅子に腰掛けると、リッカへ笑顔を向ける。


「今日は工房はお休みですか?」

「ええ。久しぶりにゆっくりしようと思いまして」

(わたくし)のわがままのせいで、リッカさんとネージュ様には迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ありません」

「いいんですよ。転移魔法陣があれば安全に移動できますし、わたしも楽に移動できるようになりましたから」


 エルナが申し訳なさそうに頭を下げると、リッカは慌ててそれを制止する。


「お姉様が転移魔法陣を使って工房へ行くときは、基本的にはわたしも一緒に移動します。ですが、一人の時でも急ぎの時は魔法陣を使いたいのですけれど、お姉様のお部屋へお邪魔しても大丈夫ですか?」

「ええ。もちろんです。もし私が不在でも、自由に出入りなさってください」

「ありがとうございます」


 リッカはエルナの返答にほっと胸をなで下ろした。


「ところでお姉様。工房へはどのくらい来られそうですか? お母様がいろいろとお勉強の予定や社交のお約束を詰め込んでいるようですけれど」


 リッカは、昨日の母の話を思い出す。


 義理の息子となるリゼのことを随分と気に入った母は、会ったばかりの頃の恐縮さなど忘れてしまったかのように、あれやこれやとリゼに話しかけていた。


 専ら話の内容は、エルナの教育状況だった。舞踏のスキルが上達しただの、社交の場での振る舞いにぎこちなさがなくなってきただの。エルナの勤勉ぶりを話しているようで、その実、いかに自身がエルナの教育に力を入れているかをアピールしているようで、リッカは内心辟易としてしまった。


 最後に母はエルナのことを、皇太子妃に相応しい淑女に育て上げると息巻いていたのだが、リッカからすれば、エルナは既に立派な淑女である。これ以上の教育は必要ないのではないか? リッカはそう思わずには居られなかった。


「お母様ったら……。お姉様は既に素敵な淑女ですのに」


 そう言ったリッカに、エルナは困ったように眉を下げて笑った。


「お義母様は(わたくし)のことを考えてくださっているのですよ。ありがたいことですわ」

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