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新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!(4)

「え?」

「嬢ちゃんの希望には、この工房が一番近いはずだ。ただ……」

「ただ? なんでしょうか?」


 リッカは前のめりになって聞き返す。すると、ジャックスは言いづらそうな表情をした。


「う~ん……。ここだけの話、給料は応相談とあるが、実はものすごく安い。それでもいいか?」

「……」


 リッカは一瞬黙ったが、すぐに笑顔になった。


「大丈夫です! 最初は見習いの身ですから、お給料が頂けるだけで十分です! よろしくお願いしますっ!」


 リッカは深々と頭を下げた。


「お、おう。そうか……。じゃあ、早速明日面接に行ってみるか?」

「はいっ! ありがとうございます」


 こうしてリッカは、ようやく希望する工房を見つけることができた。


 翌日。


 リッカはジャックスに連れられて、東の森にあるという彼の知人の工房を訪ねていた。


「さあ、着いたぞ。ここだ」

「わあ……。素敵な場所ですね」


 ジャックスに連れてこられたのは、自然に囲まれた静かな場所に建つ工房だった。リッカは辺りを見回す。木々に囲まれ、清々しい空気が漂っている。空は青く澄み渡り、鳥たちが楽しげに飛び回っていた。遠くからは川のせせらぎが聞こえてくる。


 リッカはその光景に、心が洗われるような気がした。


「気に入ったかい?」

「はいっ!」

「まぁ……確かに良いところだが、不便だぞ。まず、街までは遠い。それから……」

「あっ、あの、ジャックスさん!」


 辺りを見回していたリッカは慌ててジャックスの話を遮った。


「ん? どうした?」

「あの……あ、あちらの方は?」


 リッカが気になったのは、工房の入り口から二人の様子をじっと窺っている人の存在だった。


 年齢は二十代後半くらいだろうか。淡い水色の長い髪を後ろできっちりとまとめており、眼鏡をかけ、落ち着いた雰囲気の服装をしている。とても知的な雰囲気の美人という印象だ。


 ジャックスは「あぁ」と言って、美人の隣に立つと紹介した。


「こいつが、この工房の主だ。名前は……」

「名など、どうでもいいだろう」


 その声は凛としていてよく通った。しかし言葉に温かみはなく、どこか棘のあるものだった。リッカは思わず身構えてしまう。


 そんなリッカに苦笑しつつ、ジャックスは言う。


「おい、リゼ。ちゃんと挨拶しろよ」

「断る。私はお前と違って忙しいのだ」

「ったく、相変わらずだな。いいから、ほれ」


 リゼはジャックスを軽く睨むと、ため息をつく。そしてリッカに向き直ると、口を開いた。


「リゼだ。ここの工房管理者だ」

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