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新人魔女と憧れのあの人(7)

 ジャックスの質問に、リッカは首を傾げる。


「いくら、『アルケミー』出身とはいえ、その強さは普通じゃねえぞ?」

「まぁ! リッカちゃんは、アルケミー・アカデミーの出身なの?」


 ミーナはリッカに顔を向けて問いかける。リッカは小さく首肯した。


 アルケミー・アカデミーとは、リッカが卒業した見習い学校である。魔法に特化したカリキュラムを行う学校で、長い歴史を持つのだが、かなりの難関校のためか、出身者はあまり多くない。そんなエリート校出身というだけで、話のネタにされるくらい卒業者は稀なのだ。


 しかし、リッカはそのことについて特に何も思っていないようだ。


「わたしの実力なんて、まだまだですよ」


 謙遜するリッカを見て、二人は顔を見合わせる。


「あの人に比べたら、わたしなんてまだまだなんです」


 ポツリと呟かれた言葉に、ジャックスは興味深そうな顔を向ける。


「あの人? それは誰だい?」

「……それが、どこの誰かは分からないんです」

「なんだそりゃ? どういうことだ?」


 ジャックスの問いに、リッカは困ったように眉尻を下げながら答えた。


「小さい頃、森で魔獣の群れに囲まれたことがあったんです。その時、一撃魔法でわたしを助けてくれた人がいて。……綺麗な長い髪だったので、凄腕の魔女だと思うんですが……」


 リッカは、自分が『魔女様』と出会ったときのことを二人に話した。話を聞き終えると、ジャックスは大きなため息をついた。


「なるほどねぇ……。そいつは嬢ちゃんレベルでとんでもねぇ奴だな」


 ジャックスは腕組みをし、唸り声を上げる。


「それ以来、わたしはあの人のように強くなろうと決めたんです。いつか、あの人のように誰かの助けになりたいと思って」


 リッカの言葉を聞き、ミーナは目を細める。


「……そうだったのね。その人はリッカちゃんにとって憧れの人ってわけだ。その人を追いかけて、あなたは強くなったのね」

「はい!」


 力強く答えるリッカを見て、ミーナは微笑み、ジャックスは苦笑いを浮かべた。


「強くったって、限度があんだろう。嬢ちゃんは女の子なんだし……」


 ジャックスの呆れたような言葉に、リッカは思わず困惑の表情を浮かべる。


 周囲からは時々、ジャックスのような反応をされることがある。


 どう返したら良いものかと戸惑うリッカを援護するように、ミーナの強めの声が室内に響く。


「あら? 女の子が強くて何がダメなの? 私はいいと思うわ。目指すものの為に努力しているなんて素敵じゃない」

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