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新人魔女と師匠の間に起きたわずかな軋轢(6)

 セバンたちが作業を始めたのを見届けるとリッカは作業台に鞄を置く。ゴソゴソと鞄を漁り始めた弟子の様子が気になったのか、リゼがリッカに問いかけた。


「今度は何を始めるつもりだ?」


 リゼの問いにリッカは鞄から取り出した物をリゼの目の前でかざした。それは小さなガラス瓶だった。中には何も入っていない。リゼは眉を顰める。


「瓶がどうかしたのか?」


 リゼの問いかけにリッカはニカリと笑う。


「実はわたし、またお仕事の契約をしたんですよ」


 そう言ってリッカは意気揚々と瓶を作業台の上に置いた。リゼはそんなリッカに呆れたようにため息をつく。


「……またか。まぁ、私を巻き込まなければ好きにしたら良いが……。頼むから面倒事だけは起こさないでくれよ」


 リゼの呆れ顔に、リッカは心外だと言わんばかりに頬を膨らませる。


「なんだかその言い方だと、いつもわたしがリゼさんを面倒事に巻き込んでいるみたいじゃないですか」


 そんなリッカにリゼはやれやれと肩を竦めた。


「……自覚がないのか」


 リッカは不服そうな顔をする。


「全く身に覚えがありません」


 首を傾げながらそう返答したリッカに、リゼは眉間に皺を刻んだ。


「はぁ……。君はもう少し周りを振り回しているという自覚を持った方が良いな」


 溜め息混じりのそんな言葉など耳に入らないといった様子で、リッカはせっせと手を動かす。


「これをこうして……」


 瓶の中に一輪の小さな花を入れ自立するように固定すると、次に小さなすり鉢でゴリゴリと何かをすり潰す。


 白い粉末状になったそれを瓶の中にサラリと入れ、最後にコルクの中央に穴を開け緑色の小さな水晶を埋め込むと、それで瓶に蓋をした。


 そんなリッカの行動をリゼは不思議そうに見つめる。


「これ、どうですか? ミーナさんからの注文の試作品です」


 自信満々なリッカの手からその試作品とやらを無造作に受け取ったリゼは、怪訝な顔でいろいろな角度から観察する。しかし、リゼには何に使うものなのか皆目見当もつかなかったようだ。その眉間に皺が刻まれていくのを見てリッカは慌てた様子で説明を始めた。


「風の水晶に触れることで瓶の中に小さな風が起きて、雪に見立てたシェルパウダーが瓶の中を舞うんです」


 リッカは説明をしながら実際にそれを起動させて見せた。瓶の中では雪に見立てた粉がキラキラと輝きながら舞い上がる。


 しかしリッカの説明を聞き終えてもリゼの眉間の皺は消えない。


「それで、これは何をする魔道具なんだ?」

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