表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
346/461

新人魔女に新たな依頼(2)

「あれ? 思ったよりも乾燥してない」


 リッカがセバンに視線を向けると、セバンはコクリと頷いた。リッカは作業場をぐるりと見渡して、合点がいったとばかりに手を叩いた。


「ああ、そうか。屋内だから風が通らなくて、水分が抜け切らなかったのね」


 作業場に風を通すには窓を開けるしかない。しかしとリッカは窓を見る。作業場には日光を多く取り込めるよう大きめの窓が設置されているのだが、開閉は出来ないはめ殺しの窓だ。つまりは開かない窓ということになる。


 天日干しの作業は従来通り作業場の外で行っても良いのだが、屋内で育てている氷精花の成長にも風通しの良さは影響してくるだろうから、何とかしたいところだ。リッカは顎に手をやって考え込んだ。


「うーん。……風を起こせる道具が必要かな?」


 その言葉にセバンたちは嬉しそうに飛び跳ねるのだった。


「分かったわ。それは後から考えましょう。今日のところは、作業場の外で天日干しの続きをしましょう。移動が大変だと思うけど、お願いね」


 セバンたちはリッカにコクリと頷く。


「最後に氷精花だけど……」


 リッカは氷精花担当のセバンを引き攣れて栽培用畑へとやってきた。セバンが水を撒いたようだったが、既に所々土が乾き始めていた。リッカは念のため畑の隅々にまで目を凝らし芽が出ていないかを確認をする。そして、氷精花担当のセバンに問いかけた。


「何か変わったことは?」


 リッカの問いかけに、氷精花担当の二体のセバンがシンクロするように首を横に振る。


「そう。まぁ、相手は植物だしね。そんなにすぐには変化はないでしょう。引き続き水遣りをお願いね」


 リッカの言葉に氷精花担当の二体はコクリと頷く。


 六体のセバンが各持ち場での作業を再開させたのを確認して、リッカは作業場を出る。外に出ると、爽やかな風が吹いていた。この風みたいに心地よい風を作業場で起こすことができるようになるといいなと思いながら、リッカは作業場の裏へと足を向ける。


 そこでは使い魔のフェンが、特訓用の結界の中でセバンを相手に所狭しと動き回っていた。リッカは結界の外からフェンの特訓の様子を見守る。フェンは随分と五大魔法を使いこなせるようになってきている。それでもなかなかセバンから魔力水晶を奪うことは出来ないようだ。


「フェン、そろそろ街へ行く時間よ」


 主の声に使い魔は聞き分けよく動きを止める。リッカは魔法陣から魔力水晶を回収し、フェンの対戦相手たちを土へと還した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ