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新人魔女、初めてのお仕事契約(6)

 材料原価の内訳、卸価格、輸送方法などをオリバーが細かく確認していく。そんな中、リッカがおずおずと手を挙げた。彼女は気まずそうな表情をしている。その表情を見たオリバーは、書類を書く手を止めた。


「お嬢さん、どうされましたか?」


 リッカはオリバーの問いかけに気まずそうに視線を彷徨わせる。そして躊躇いながら口を開いた。


「……あのー、今回交わす契約は、氷精花の卸売りに関してのものだけに限りますか?」


 リッカの質問の意図を測りかねたオリバーは、そのままラウルへ質問を投げかける。


「原材料以外にお嬢さんへ何か依頼することはありますかな?」


 オリバーの問いかけにラウルも首を傾げる。


「いえ、特には……」


 二人の反応を見たリッカは慌てて口を開いた。


「いえ、あの……どうせお手伝いさせて頂くのならば、別のことでもラウルさんのお力になれないかなと思いまして……」


 リッカの慌てた様子にラウルは首を傾げる。オリバーも不思議そうにしていた。


「実は少し思いついたことがあるのです。もしよろしければ、ラウルさんのお店で試験的に使って貰えないかと……」


 遠慮がちに言うリッカに、ラウルは困惑した表情になる。


「一体何を?」


 リッカは意を決したように真っ直ぐにラウルを見る。


「わたしのゴーレムを使ってみませんか?」


 リッカの思わぬ提案に二人は目を見開いて驚嘆した。


「ご、ゴーレム!? それは、戦闘用兵器として使われる、あの巨大人形兵のことですかな!? そんな物を一体、何に使うと言うのですっ!?」


 オリバーが驚きの声を上げる。ラウルは呆気に取られたように口をポカンと開けていた。そんな彼らの反応を見て、リッカは困ったように笑う。


「えーと、わたしのゴーレムは一般的なものと少し違うんですけど」


 そう言ってリッカは鞄から一枚の羊皮紙を取り出すとそこにサラリと魔法陣を書き付けた。さらに鞄から一握りの土の塊を取り出すと、それを魔法陣の中央に配置する。


「〈従者土塊(セバンツーチ)〉」


 魔法陣に手をかざし、リッカが魔法を唱えると魔法陣が激しく輝きだす。しばらくすると、魔法陣の中央に配された土の塊がグニャリグニャリと形を変え始め、やがてそこに一体の土人形が現れた。


「……!」

「お、お嬢さん! こ、これは……」


 ラウルとオリバーは言葉もなく目の前の光景を見つめていた。そんな二人にリッカは笑顔を向ける。


「これはゴーレムとは言っても、一般に認知されている巨人型のゴーレムとは少し違うんです」

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