表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/461

新人魔女の初オークション(2)

「今日の目玉商品は宝石だそうですよ」


 リッカは通りを歩きながら、鞄からチラシを取り出しエルナに手渡した。


「こちらの商品がミーナさんの気を惹きそうだと、ギルド長とジャックスさんが仰っていました」

「まぁ、ミーナ先生もお見えになるのですか?」


 エルナはチラシを受け取りつつ目を輝かせた。ミーナと会えるのが嬉しいのだろう。しかし、同時に心配そうに表情を曇らせる。


「ですが、身重のお体ですのに、大丈夫なのでしょうか」

「どうでしょうか? でも、無理ならジャックスさんが止めるでしょうし」

「それもそうですわね」


 リッカの言葉にエルナも納得したようだ。それからギルドまでの道のりを、二人はオークションのチラシを見ながら楽しげに歩いた。


 リッカとエルナが共にギルドの扉を開け中へ足を踏み入ると、すぐに職員のデイジーが気づいてカウンターから声をかけてきた。


「あら、リッカちゃん。おはよう」

「おはようございます、デイジーさん」


 リッカはお辞儀をして挨拶をする。エルナもそれに倣って頭を下げた。


「そちらのお嬢さんは?」

「あ、わたしの義姉(あね)です。同じ工房で働いています」

「まぁ! そうなのね。今日は二人でオークションに来たの?」

「はい。ギルド長さんはおみえですか? オークションを案内していただくお約束になっているのですが」

「そうだったの。じゃあ、呼んでくるからあそこで少し待っていてちょうだい」


 デイジーはロビーに設置されている長椅子を指してからカウンターを出ると、ギルドの奥へ姿を消した。椅子に座り待っている間、エルナは興味津々といった様子でギルド内を見回している。しばらくしてデイジーが二人の元へ戻ってきた。


「もうしばらく待っていてほしいとのことよ」

「分かりました。ここでお待ちしています。ところで、デイジーさん。ラウルさんは今日はもうこちらへ見えていますか?」

「え? ああ、スイーツ店の彼ね。今日はまだ見ていないわね」

「そうですか……」


 リッカは残念そうに肩を落とした。そんなリッカの様子が気になったエルナが声をかける。


「リッカさん、どうかされましたか?」

「ええ、ちょっと。ラウルさんと少しお話したいと思ったのです。昨日お会いしたときに随分と顔色が悪かったので、少し心配で」

「まあ、そうでしたのね」


 リッカの話を聞いて、エルナも心配そうな顔をする。


「彼は今日は出品者だから必ずギルドへ来るはずよ。来たらリッカちゃんが心配していたと伝えておくわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ