表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/461

新人魔女とギルド長(6)

 リッカはオリバーの示した可能性に青ざめた。


「それは、つまり……」

「あくまで可能性の話です。ですが、可能性はゼロではありません」

「そんな……」


 絶句したリッカの様子にオリバーは苦笑いを浮かべる。


「もちろん、そうならないように我々ギルドが目を光らせています。しかしそういう恐れがあるわけですので、工房の情報も、お嬢さんの情報もなるべく伏せておいた方がいいでしょうな」

「……はい。分かりました」


 リッカは彼の言葉に納得したように頷いた。しかし、動揺が収まらない。無意識にギルドカードに触れてしまい、カード情報が再び流れ始めたのでリッカは慌てて指を離した。


「さて、登録も済んだことですし、お仕事についてのお話をいたしましょうか?」

「あ、はい! でも、工房のことを(おおやけ)に明かさないということですと、どのように仕事を請け負えばよいのか……」


 リッカが困った顔をすると、オリバーはにっこり微笑んで言った。


「簡単なことです。我々ギルドが斡旋と仲介を行いましょう」

「え? そんなことをお願いしても良いのですか?」


 リッカが驚いて尋ねると、オリバーは「もちろんです」と頷いた。


「それもギルドの仕事のうちですので。ただし、斡旋仲介料として、少しばかり頂くことになりますが」


 オリバーの言葉にリッカは小さく頷く。


 ギルドが斡旋と仲介を行う場合、報酬のうち二割を斡旋仲介料としてギルドに納めることになるらしい。ギルド介入により報酬の目減りを嫌う者は、ギルドを通さず個人間で取引を行うこともできる。しかしその際は、取引間で揉め事が起きてもギルドは関与しない。ギルドを通さず取引を行う場合は自己責任が原則だ。


 リッカの場合、工房情報の開示を行えないのでギルドを通して仕事を得るしか方法がない。それに、もともと個人で仕事を請け負うには経験が足りない。今のマグノリア魔術工房にとって、ギルド長の提案は渡りに船であった。


 しかしそうなると、一つ気になることがある。リッカは隣に座るジャックスをちらりと見た。リッカの懸念を感じ取ったジャックスが「問題ない」というように小さく頷く。


「斡旋仲介料の二割は、ギルド規定であらかじめ決められているものだ。ぼったくりではないから安心しろ」


 ジャックスの言葉にリッカは頷き返し、再びオリバーへ視線を向ける。


「分かりました。お仕事を頂いた際はギルドへお支払いします」


 リッカがそう言うと、オリバーは安心したように微笑んで頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ