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新人魔女のギルド加入(8)

「確かに! ミーナさんなら良いお店を知っていそうですね。では、聞いてもらってもいいですか」


 リッカが納得顔をジャックスに向ける。ジャックスは安心したように頷いた。


「任せておけ。それじゃあ今日はこれで帰るとしよう。嬢ちゃんは明日、ギルドへ来られるか?」

「はい。大丈夫です。ですがわたし、ギルドの場所を知らなくて」


 不安そうにそう言うリッカに、ジャックスは豪快に笑う。


「そうか。知らんか。じゃあ、明日はプレースメントセンターへ来ると良い。俺が連れて行ってやる」

「分かりました。よろしくお願いします」


 リッカは頭を下げる。リゼがやれやれと肩を竦めた。ジャックスはそんなリゼを気にも留めず、椅子から立ち上がると「じゃあな」と言って工房を出て行った。


 大柄なジャックスがいなくなるとそれだけで工房が広くなった様に感じる。リッカはどこか落ち着かない様子で辺りをキョロキョロと見回した。リッカの様子に気が付いたのか、リゼが呆れたようにため息を吐く。


「これからは君の工房になるのだ。好きに使え。と言っても、君は既に好きに使っているがな」


 リゼはそう言うと窓の外へと視線を向ける。向けられた先には、先日リッカが作成した虹の雫を研究するための簡易装置があった。


「君が工房へ来なかった間に抽出された虹の雫の蜜は採取してあちらに置いてある」


 リゼはクイッと顎で薬品棚を指し示す。色とりどりの薬品が並ぶ中、透明な液体が入った小瓶も置かれていた。リッカはそれを手にとる。瓶の蓋をそっと開け、瓶の口に鼻を近付けると、ふわりと甘い香りがした。


 リッカは瓶の蓋を慎重に締めるとリゼへ向き直った。


「半月かけてこれっぽっちの蜜ですか。なかなか生産性が悪いですね」


 リッカは困ったように笑う。小瓶に半分ほどの蜜では、貴重すぎてなかなか研究に使うことも出来ない。リッカは小瓶を薬品棚にそっと置く。リゼはつまらなそうにリッカの言葉を聞いていた。


「ふむ。まぁそうだが、君はそれを一体何に使うつもりなのだ?」


 リゼの言葉にリッカは首を傾げる。


「何に、とは?」


 リッカの疑問にリゼは眉根を寄せた。


「水に溶け出しているとは言え、虹の雫の蜜だ。効力はそれなりにある。使い方次第では少量でこと足りるのではないか」

「確かにそうですね。では、これを使って魔力強化剤などは作れないでしょうか? 魔素を含んでいるので特効薬のような物が作れるといいのですが」


 リッカは小瓶を見つめ考え込んだ。

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