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新人魔女が工房主⁇(5)

 驚きを隠せない様子のリゼに、エルナはニッコリと微笑む。


「リゼさん、おはようございます」


 リッカも挨拶をする。しかし、戸惑っているリゼにはリッカの姿など目に入っていないのだろう。視線がエルナへ向けられたまま固まっている。


「え……エルナさん! どうして……」


 ようやく我に返ったのだろう。リゼは扉から転がり出るようにしてエルナの側へ駆け寄ると、勢いよくその両手を取った。


「あ……あの」


 突然のことに戸惑うエルナに構わず、リゼはエルナの手を取ったまま、その目をキラキラと輝かせる。


「エルナさん!」

「は……はい」


 勢いに押されながらもエルナが返事をすると、リゼは感極まったのかエルナをギュッと抱きしめる。突然のことに、抱きしめられたエルナはもちろん、側で見ていたリッカも驚きで固まってしまった。しかしそんな二人の様子に構うことなく、リゼはエルナを抱きしめて離さない。


「あ、あの……ネージュ様」


 困惑の声を上げるエルナはされるがままだ。リッカはそんな二人の様子にうっすらと頬を染め、どこを見るとも無しに視線を彷徨わせる。しかし、好奇心は抑えられない。再び視線をこっそりとエルナたちへ戻したところでリゼと目が合った。


「え? あ……」


 リッカと視線が合ったリゼはハッと我に返ると、一瞬ばつが悪そうな顔をする。慌ててエルナから手を離し、リゼはすぐに姿勢を正すと恥ずかしそうに頭を下げた。


「申し訳ございません」


 そんなリゼにエルナはニコリと微笑む。


「いいえ。大丈夫ですわ」

「あの……それでエルナさん。なぜこちらへ? 出歩くのは危険です。森には魔獣がおりますし、それ以外にも……」


 躊躇いがちに口を開いたリゼだったが、エルナはその先を言わせなかった。


「はい。承知しております。ですが、(わたくし)もこれまでのようにお二人と共に働きたいと思いまして」


 エルナの言葉にリゼは困ったように眉尻を下げた。


「しかし……」


 困惑しきったリゼは、なぜ連れてきたのだと言わんばかりの視線をリッカに向ける。その視線にリッカは肩をすくめた。


「リゼさん、お姉様を許してあげてくださいませんか? 家にいるだけでは退屈でしょう。行き帰りはわたしがしっかりとお守りしますから」


 二人の訴えにリゼは難しい顔で考え込む。しばらくして、諦めたのだろうか小さなため息をついた。そして渋々といった表情で頷く。


「……分かりました」

「まぁ! ありがとうございます。では、早速朝食の準備に取り掛かりますね」

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