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新人魔女と白紙の魔術書(5)

(リゼさんの魔力……)


 目を閉じ、神経を研ぎ澄ませていく。指先から魔力を放出するようにイメージしながら、リッカは少しずつ魔力を注ぎ込んでいった。すると、すぐに変化が現れた。


「あっ!?」

「おっ、どうや?」

「な、なにかに当たった……?」


 驚きの声をあげるリッカに対して、グリムはとても楽しげだ。


「どんな感じや?」


 リッカは自分の手元に目を向ける。筆記帳がぼんやりと輝いている。そして、中心部には何色にも色を変える光の塊があるような気がした。


「これはリゼさんの魔力……?」

「おお! 一発で掴むとは、さすがやなぁ!」


 感心するように褒めるグリムに視線を向けたリッカは、驚きに目を見開いた。


「グリムさん……」

「ん? どないしたん?」


 不思議そうな顔をしているグリムに、リッカは恐る恐る問いかけた。


「あの、グリムさんも光って……」


 不安そうなリッカの言葉に、グリムは一瞬ポカンと口を開けてから、豪快に笑った。


「アッハッハ! 当然や! わいもリゼラルブの魔力を与えられてるんやから」

「あ、そうですね……」


 ホッとした表情を見せるリッカに微笑んでから、グリムは言った。


「そんじゃ、次はいよいよ術式解読やな! リゼラルブの魔力を感じたまま、もう一度それを開いてみぃ」

「はい」


 リッカは小さくうなずくと、リゼの魔力をしっかりと認識したまま、筆記帳の表紙を捲った。


 しかし、何も起きない。目の前に現れた頁は相変わらず白紙のままだった。首を傾げるリッカに、グリムが苦笑いを浮かべる。その様子に、リッカは失敗してしまったのかと焦った。


 パラパラ、パラパラと頁を捲っていく。何頁も続く白紙にリッカが途方に暮れかけた時、頁を捲るリッカの手が止まった。


「あれ、ここだけ……」


 そこには他の頁とは違い、はっきりと文字が記されていた。


『使い魔召喚』


「グリムさん、これ……」


 リッカが驚いた様子で声をかけると、グリムはニッと笑顔を見せた。


「よっしゃ! 術式が見えたみたいやな!」

「はい。でも、どうしてここだけ?」

「その答えは簡単や。その頁の魔術が今のあんたに最適だからや」

「えっ?」

「まあ、気にせんでもええわ。今はとにかく、この術式をやってみようや」

「はい!」


 リッカは勢いよく返事をする。それから、『使い魔召喚』の頁をじっくりと読み込んだ。


「どうやら素材が必要そうですね?」

「よっしゃ。採取に行こか」


 リッカは嬉しそうな顔をしてうなずいた。リッカたちは工房を出て森へと向かう。

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