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新人魔女と過保護な両親(7)

 リッカは一瞬躊躇したが、それでもイドラの目を真っ直ぐに見つめ返しながらそう言った。


「そうか。では、これが危険なものでないと私を納得させてみろ」


 目をみればその言葉が本気だとわかる。しかし、リッカはイドラの言葉に咄嗟に反応することができなかった。


「どうした? できないのか?」


 何も返答を返さないリッカに、イドラは険しい表情でそう言う。


 リッカも出来ることならすぐに声を上げて反論したいところだった。しかし、髪飾りの性能をどんなに上げ連ねてみても父は納得しないのではないかと思えた。どのようにして父を論破しようかと、リッカは必死に頭を働かせる。


 そんな時だ。


「お義父様」


 エルナが声を上げる。その声にイドラとロレーヌの視線がエルナへと向けられた。


「確かにこの髪飾りには大きな力が込められています。しかし、本当に危険なことなど何もありません」


 エルナの言葉にイドラは眉を顰める。そんな義父に臆することなく、さらにエルナは言葉を続けた。


「こちらの髪飾りに付与されている魔法は、防御魔法のみなのです」

「どういうことだ?」


 イドラの目が興味深げに細められる。


「はい、これは私の身を守るための魔道具なのです」


 エルナの言葉にイドラは無言のまま頷き、続きを促す。


「リッカさんが作製して下さったこちらの髪飾りには、他者の攻撃から(わたくし)を守る魔法が付与されています。先ほども言いましたが、私にはほとんど魔力がありませんので、自らの意志でこの魔道具を発動させることはありません。他者から攻撃があった時にだけ各属性の魔法が発動します」

「防御魔法しか付与されていないから、安全なものであると?」


 エルナの説明にイドラが問いかける。


「そうです」


 エルナはしっかりと頷いた。


「そうか……」


 イドラはそれきり黙ってしまった。だが、しばらく黙考した後、難しい顔をしたまま口を開いた。


「その髪飾りが防御魔法しか付与されていないということは理解した」


 エルナは義父の言葉にホッと胸を撫でおろす。しかし、そんなエルナの耳に信じられない言葉が届く。


「だが、それだけで危険がないと判断をするわけにはいかぬ」


 エルナは大きく目を見開き、父の顔を見返す。


「何故でしょうか? 身を守るのみで、攻撃など致しませんのに」


 エルナの言葉にイドラは首を振る。


「それでもだ」


 戸惑いを隠せないといった様子の義姉の顔を見ながら、やはり父を説得するのは骨が折れそうだと、リッカは小さくため息をついた。

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