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新人魔女と白紙の魔術書(4)

 そんなことを考えて気後れしているリッカに向かって、グリムは言った。


「安心しい。わいが補助したるさかい」

「グリムさんが? でも……」

「大丈夫やって! あのデッカい魔樹を一人で解体したあんたなら余裕や! 」

「え? 魔樹? ヒヤシンのことですか? どうして、グリムさんがそのことを?」


 思いもよらない言葉に、リッカは思わず目を丸くした。そんなリッカの反応を見て、グリムは満足そうにニヤリと笑う。


「ふっふーん! その様子やと、やっぱり気ぃついとらんかったみたいやな」


 グリムは得意げに胸を張る。


「わいはあの場におったからな! あんたの破茶滅茶ぶりをバッチリ見とったで!」


 その言葉を聞いた瞬間、リッカの顔が見る間に赤く染まった。その様子に気付いたグリムは、面白そうに言う。


「なんやぁ、恥ずかしいんか? あんな大技ぶっ放しておいて今更やないか」


 そう言われてもなお、リッカは何も言い返すことができなかった。確かに、あの時は就職先を得ようと必死だったので気にしていなかったが、冷静になって考えるとかなり大暴れしていたのかもしれない……。森には簡単に摘める薬草もあったのに。


 そのことに今更ながら気がつき、リッカは自分の中にある羞恥心が一気に膨れ上がってくる感覚に襲われていた。


 そんなリッカの姿を見て、グリムは堪えきれないと言った様子で笑い声をあげた。


 ひとしきり笑って落ち着くと、グリムは大きく息を吐き、改めてリッカに声をかけた。


「まあ、とにかくや。リゼラルブの術式を読めるようになりたいんやったら、まずはリゼラルブの魔力を感じるところから始めるで」

「……分かりました。やってみます」


 自分の気持ちを切り替えるように、リッカは軽く頭を振ってうなずいた。そして、再び手の中の筆記帳へと視線を落とす。リッカの様子を確認してから、グリムは再び口を開いた。


「それじゃ、説明するで。さっきも言うたが、まずはリゼラルブの魔力を感じることから始める」

「はい」

「やり方は簡単や。筆記帳に手を当てて、あんたの魔力を流し込むだけや」

「それだけですか?」

「せや。その時何か違和感を感じたら、それがリゼラルブの魔力や。魔力は人それぞれやから、自分の魔力と違えば必ず分かる。魔力を掴みやすいよう、わいがリゼラルブの魔力を一緒に流したる。ほれ、試しにやって見てみぃ」

「は、はい!」


 リッカは緊張した面持ちで筆記帳に手をかざす。そして、ゆっくりと深呼吸をして意識を集中させた。

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