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新人魔女と襲撃者(2)

 使い魔と二人のんびりした時間をしばらく過ごしていると、コンコンとノックする音が室内に響いた。


「はい」


 リッカはティーカップを置くと、急いで立ち上がった。それからすぐに扉が開かれメイドが入室してくる。


「失礼いたします。皇太子様とご婚約者エルナ様がお見えです」


 リッカは了解の旨を伝えると、慌てて身だしなみを整える。スカートの裾を払い、手櫛で髪を撫でつけていると、エルナを伴ったリゼが入室してきた。


「随分と顔色がよさそうだな」

「はい。ご心配をおかけしました。王宮の寝心地の良いベッドで寝かせていただいたおかげで、この通り完全回復しました」


 リッカがおどけてガッツポーズをして見せると、リゼは呆れたようにため息をついた。その横でエルナは安堵したのかホッと胸を撫でおろしている。


 昨日、国王マリアンヌと謁見したエルナは、晴れて皇太子リゼラルブの婚約者として認められた。皇太子妃となった場合、どのように国が変わるかと問われたエルナは「国は変わらない」と答え、その理由を説いた。それを聞いた国王はとても愉快そうに笑った。


「なるほど。己には力がないことを悟り、陰から王室を支えるとそう言いたいのだな。……なまじ、権力に目覚めそれを振りかざす愚か者よりも余程良い。良いでしょう。(わたくし)は貴女を認めましょう」


 こうしてエルナは皇太子の婚約者として認められ、その瞬間、皇太子妃エルナの後ろ盾となるべく、リッカがスヴァルト家の次期当主となることも正式に決定したのだった。


 それからの一日はとても慌ただしかった。


 まずは新国王の戴冠式並びに皇太子の立太子礼が、国の要人、近隣諸国の来賓が列席するなか執り行われ、リッカもスヴァルト家の時期当主として参列した。


 戴冠式の様子は、国民も目にすることが出来たようだ。市街数か所に派遣された王宮魔導士の魔石によって映像としてその様子がリアルタイムに各地に流されていたらしい。まるで目の前で見ているかのように鮮明に映し出された式典の様子に歓喜する人が後を絶たなかったと、父が現場の警備報告を受けているのを、リッカはこっそりと小耳に挟んでいた。


「我、マリアンヌ・マグノリアは、ここに新たな時代の幕開けを宣言する」


 新国王の力強い宣言は、式典に参列した者の拍手と市街の各所から巻き起こる歓声によって受け入れられた。その時の地鳴りがするような歓声は、建国以来の盛り上がりだったと、後の舞踏会で人々は語り合っていた。

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