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新人魔女と白紙の魔術書(2)

 リッカは慌ててしゃがみ込み、白猫を抱き上げるとそっと胸に抱き寄せた。突然の行動に驚いたのか、白猫は一瞬硬直したように動きを止めると、次の瞬間リッカの腕の中でじたばたと暴れ出した。


「うわっ!? おい、離しぃ!! わいは慰めなんかいらへんねん!!」

「今まで気が付かずに、ごめんなさい」

「ちょおっ、やめろや!! こないな姿見られたら恥ずかしいやろ!」


 必死に抵抗する白猫だったが、足掻けば足掻くほどリッカの腕がさらにきつく抱きしめるので、やがて諦めて大人しくなった。


 抵抗をやめた白猫を見てほっとした表情を浮かべたリッカは、今度はゆっくりと白猫の頭を撫で始めた。最初は嫌がっていた白猫も、優しく撫でられているうちにだんだん気持ち良くなってきたようで、しまいにはゴロゴロと喉まで鳴らしている始末。


 すっかりおとなしくなってされるがままになっている白猫を見ながら、リッカは疑問を投げかけた。


「あなたの名前はなんていうんですか?」


 すると白猫は答える。


「名前? ああ、そういえば自己紹介がまだやったか。わいはリゼラルブの使い魔、グリムや。よろしゅう頼む」

「私は新人魔女のリッカです。先日からこちらでお仕事をさせて頂いてます」

「おう。知っとるで。あんたがここへ来てからずっと見てるからな」

「え? そうなんですか?」

「ああ。リゼラルブから、あんたの仕事ぶりを監視してくれって頼まれてるからな」


 リッカの頭の中に、ぬいぐるみのような白猫に向かって指示を出すリゼの姿がありありと思い浮かぶ。そして、そんなリゼの姿を想像してリッカは思わず笑ってしまった。


 その様子を見た白猫――改め、グリムは怪しむような視線を向ける。それに気づいたリッカは、すぐに笑顔を引っ込めると、誤魔化すために質問をした。


「えっと……それで、グリムさんは今日は一人でお留守番ですか? いつもはリゼさんのお側にいらっしゃいますよね」


 リッカの問いに、グリムは思い出したかのように言った。


「そうや! 忘れるところやった! リゼラルブは今日はもう出掛けたわ」

「そうなんですか? では、私は今日は何をしたら……」


 リッカは困ったように首を傾げる。そんな彼女にグリムは言う。


「リゼラルブから、伝言があるんやけど聞くか?」

「はい。ぜひ聞かせてください!」


 リッカが元気よく返事をする。それを見たグリムは、ふふんと鼻を鳴らすと胸を張ってこう告げた。


「『新しい魔術を一つ習得しておけ!』や」

「……え?」

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