表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/461

新人魔女と薬用スイーツ(6)

「そうか! 氷精花が溶けた水を使ってこのスイーツを作ったのね」


 いつしかリッカの説明に熱心に耳を傾けていたミーナは納得したように手を打った。興奮をしているのか、その瞳はキラキラと輝いている。


「そう言うことです」


 リッカはニッと笑う。ミーナは感心したようにうんうんと頷いた。そして、改めて話題のスイーツに目を向ける。


「それじゃあこの不思議なスイーツを考えついたのは、リッカちゃんなの?」

「いえ。水となった氷精花を使うことを思いついたのはお姉様です! わたしは素材についての知識はあっても、お料理に関しては全くなので」


 水を向けられたエルナはうっすらと頬を染めて、困ったように笑う。


(わたくし)は何も。ただ貴重な素材が活かせないのは勿体ないと思っただけで。良い素材があると提案したのはリッカさんですし、その素材を活かしてスイーツを作り出したのはラウルさんですから」

「そんなことないですよ! わたしがこの素材の話をしたとき、最初はラウルさんの反応、微妙だったじゃないですか。溶けてしまったら使えないのかと、お姉様が仰ったからこそですよ」


 エルナとリッカは創作課程の裏話を披露しながら互いを褒め合い始めた。二人の絆を思わせるそんなやり取りをミーナは微笑ましく感じる。


「つまりは、二人ともこのスイーツの開発に関わっているということよね?」

「あ……えっと、はい。そうです。少しですけど」


 エルナは恥ずかしそうに頷いた。そんな様子にミーナはクスクスと笑う。


「人のためになることをしたなんて素晴らしいわ」

「いえ、そんな」

「謙遜しなくて良いのですよ。エルナ様。悩んでいる人に寄り添った、それこそが褒められるべきことなのですから」


 ミーナに褒められたエルナは益々顔を赤らめる。その隣でリッカの顔にはまんざらでもなさそうな笑みが浮かんでいた。和やかな空気が三人の間に流れる中、ミーナが匙を手に取った。


「じゃあ、スライムの心配も苦みの心配もなくなったところで、そろそろ頂きましょうか」

「はい!」


 エルナとリッカもミーナに倣い匙を手に取る。三人はスイーツにそっと匙を差し入れた。すると、くにゅんとした手応えがしてスイーツが簡単に割れると、隙間からとろりとした白いミルクのようなものが流れ出した。


「これは花の中央部分を花弁とは別に溶かしたものらしいですよ。花の蜜でしょうか。これに絡めて食べるのだそうです」


 エルナが事前にラウルから聞いていた知識を披露する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ