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新人魔女と薬用スイーツ(1)

 リッカとエルナは本日もミーナの店に来ている。貴族教育も一週間が過ぎ、二人はすっかりミーナの店に慣れ親しんでいた。


「本日はスイート・ミッションの試作スイーツをお持ちしました」


 リッカがそう言いながら手にしていた袋から取り出したのは、綺麗な淡い水色の球体。プルンとしたそれは薄い膜で包まれていた。


「まあ、それは一体何かしら?」


 ミーナが不思議そうに尋ねる。リッカは得意気にふふんと鼻を鳴らすと、そのお菓子をミーナの手のひらにコロンと乗せた。途端にミーナは、「まあ!」と感嘆の声を上げる。ミーナの手の中で新作スイーツがプルンプルンコロンコロンと揺れる。規則性のないその動きにミーナの視線は釘付けになっていた。


 リッカとエルナはそんなミーナの反応に満足そうな笑みを浮かべる。


 リッカはもう一つスイーツを取り出すと、それをエルナに手渡した。エルナは既にラウルの店でこのスイーツを目にしていたのだが、それでもやはり不可思議な動きに目を奪われてしまう。


 二人の手の中ではスイーツがまるで生きているかのように揺れ動く。いつまでも見ていられる。観ていて飽きない。それがこのスイーツの最大の特徴だった。


 リッカがスイーツに見とれている二人を見てニヤニヤとしていると、お菓子に夢中になっていたミーナがリッカに見られていることに気づき、ハッとした表情で咳払いをした。その音でエルナも我に返る。二人は互いに顔を見合わせ、少しばつが悪そうに微笑みあった。


 ミーナは場を取り繕うようにもう一度コホンと咳払いをすると、リッカに問いかける。


「これが試作スイーツ? まるでスライムみたいにとても不思議な動きをするのだけど、一体どのようにして頂くの? このままパクリといくのかしら? でも、それだと少しお行儀が悪いわね」


 ミーナの疑問にリッカはニヤッと笑う。


「ふふ。それはですね、お皿の上にこれを置いて、プチっとやるのです」


 リッカの説明にミーナは首を傾げる。


「プチっと?」

「はい。プチっと」


 得意満面なリッカの回答に要領を得ないミーナは眉根を寄せている。エルナはそんな二人の様子を見てクスッと笑うと、ミーナに声をかけた。


「説明するより見た方が早いです。ミーナ先生、お皿をお借りできますか?」


 ミーナは了解すると、手早くお茶の準備をして戻ってきた。トレーには三人分のお茶とお皿が用意されている。どうやら今日はアイスティーのようだ。グラスの中の氷がカランと音を立てた。

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