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新人魔女には少し難しい助言の話(1)

 天曜日は市場も商店街も一週間のうちで一番賑わう日。朝から多くの買い物客が行き交い、お店では商品が飛ぶように売れていく。そんな忙しい日に最近話題のスイーツ店で一日中店の手伝いをしたリッカとエルナは、翌日、多少の疲れを残していた。そんな教え子の様子を見て取った講師役のミーナは、二人に紅茶を勧めながら口を開く。


「昨日のお疲れが残っているようですから、今日は休養を兼ねてゆっくりとお話をすることにいたしましょうか。午後には舞踏の練習がございますしね。そちらに支障が出てはいけませんので」


 ミーナの提案にリッカは嬉しそうに顔を輝かせたが、エルナは心配そうに眉を寄せた。


「お勉強はよろしいのですか?」

「構いませんよ。講義をお休みにするわけではありませんもの。昨日の課外活動でお二人がどのようなことを感じたのか、それを教えていただけますか? それらをふり返り考えるだけでも、勉強になりますからね」


 ミーナの答えにエルナとリッカは驚いたような表情を浮かべたが、すぐに嬉しそうに微笑んだ。それからエルナは何かを思い出すように、遠い目をした。エルナが黙っているようなので、リッカが先に話をする。


「人がたくさん来て接客は大変でしたけど、楽しかったですよ。リゼさんの工房では、あまり来客はありませんから」


 リッカの言葉にミーナは少し困ったような顔をした。森の中、しかも大賢者の工房という特殊性のため、リッカの勤めるマグノリア魔術工房には普段あまり来客はない。個人の実習時間を確保したいというリッカの希望に合った職場ではあったが、一方でリッカは人とのコミュニケーションの機会に飢えていたのかもしれない。ニコニコと客との楽しい時間を振り返る教え子を見て、ミーナはそう思った。


「いろいろな方と交流が持てることが接客のお仕事の醍醐味ですからね。では、もしネージュ様から、工房へもっと多くのお客様が訪れるように何か案を出してほしいと言われたら、リッカちゃんはどんな案が浮かぶ?」


 ミーナの質問にリッカは「うーん」と唸りながらも、指を折りながら「お花を飾って明るい雰囲気にする」とか「素敵な音楽を流す」とか、いくつかの案を挙げていく。しかしどれもしっくりこないようで、眉根を寄せて考え続ける。


 しばらくして名案が閃いたのか、リッカは手をパンと打ち鳴らすと、満面の笑みをミーナに向けた。


「そうだ! リゼさんの無愛想を直すっていうのはどうでしょうか?」

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