表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/461

新人魔女と精霊のペンダント(8)

 エルナが尋ねると、リッカは得意げに説明を始めた。


「この水晶は魔力の結晶体です。周りの環境から、きっとあるだろうと思っていましたが、普通の物よりかなり純度が高そうです。これを使えばいい物が作れると思いますよ」

「作る?」

「わたしも魔女の端くれです。エルナさんのために、魔術道具を一つ錬成させてくれませんか?」


 リッカは屈託のない笑みを浮かべて言った。


「リッカ様……」


 エルナはリッカの顔を見る。そして、深々と頭を下げた。


「ありがとうございます」

「いえ、そんな。リゼさんほどの腕はありませんが、わたしなりに精一杯を尽くしますね」


 リッカはそう言って微笑んだ。


 それからリッカは早速作業に取り掛かった。まずは、水晶の中から透明度の高そうなものを選ぶ。次に木切れで地面にサラリと魔法陣を描きつけた。


「すみません。エルナさんがいつも身につけている物はありますか? 触媒にしたいのですが」

「これでよろしいですか?」


 エルナは、首から下げていたペンダントを外してリッカに手渡した。


「はい、充分です」


 リッカはそれと水晶を丁寧に魔法陣に並べると、その上に手をかざした。すると、淡い緑色の光が浮かんできた。それは次第に強くなり、洞窟の中が優しい緑色に包まれる。


「〈精霊の加護(セイレンナカーゴ)〉」


 リッカが呟くと、光がさらに輝きを増した。その光景はとても幻想的で、エルナはその美しさに思わず見惚れてしまった。


 やがて光が収まると、リッカはふうっと息を吐いた。


「終わりました」

「えっ?」


 エルナが聞き返すと、リッカはニッコリと笑って言った。


「完成しました。はい、どうぞ」


 リッカは出来上がったばかりの品物をエルナに手渡す。ペンダントは、先程よりも一回り大きくなっていた。エルナがそれを手に取ってじっと見つめていると、リッカが言った。


「ペンダントに精霊の加護を付与しました。このペンダントを身につけていれば、エルナさんの忘れ物を精霊が教えてくれるはずです」

「えっ!?」


 エルナが驚いて顔を上げると、リッカは悪戯っぽく笑った。


「あ、ほら」


 エルナがペンダントへ視線を戻すと、石の部分が淡く光り波紋が広がっていった。そして、そこにぼんやりと映像が映し出された。


「あ……鞄……」


 そこにはエルナの鞄が映っていた。どうやら工房に置き忘れてきていたようだ。


「と、とりあえず使えそうですね」


 二人は何とも言えない表情で顔を見合わせる。


 その後、二人は森を出て慌てて工房へ戻ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ