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新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!  作者: 田古 みゆう


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新人魔女と不器用な師匠(7)

「冗談だ。本気にするな」


 リッカはホッとして胸を撫で下ろした。


「それで、その……、魔装というのは?」

「魔装ってのは、簡単に言えば魔法で見た目を変えることだ」

「魔法で?」


 リッカは思わずオウム返しする。そんなことが出来るなんて知らなかった。驚きに目を見張るリッカに、ジャックスは得意げに語る。


「そうだ。俺たちは自分の体の中に魔力を持っているだろ? それをコントロールすることで様々な現象を起こすことができる。例えば、火を出したり、水を操ったりな。それと同じように、リゼは自分の外見を変化させることもできる。それが魔装だ」

「ほ、本当ですか!」


 リッカは興奮気味に身を乗り出した。ジャックスはそんなリッカの反応が面白かったようで、ニヤッと笑う。


「ああ。ま、実際に見てみた方が早いかもな」


 ジャックスがリゼの方へ視線を向ける。それにつられてリッカもリゼを見る。


「つまりリゼさんの髪色が変わったのは、魔装でオシャレをしていたからというわけですか……」


 リッカがふむふむと納得しかけていると、ジャックスが待ったをかけた。


「いや、嬢ちゃん。それは少し違うぞ」

「え? でも、染料で髪を染めたわけではないんですよね?」

「それはそうだが。リゼの場合は少し事情が違う」


 ジャックスの言葉に、今まで黙っていたリゼが初めて反応を見せた。


「別に私は好きで髪色を変えているわけではない」


 そして、不満そうな顔で続ける。


「私は魔力量が多すぎるため、魔力の暴走で髪色が定まらないのだ」

「暴走?」


 リッカが聞き返すと、リゼはコクリとうなずいた。


「うむ。だから、自分の意志とは関係なく日毎髪色が変わる。私としては迷惑極まりないことなのだ」

「そうだったんですか……。あ! でも、髪型は? 髪型も昨日と違いますよね?」


 リッカはふと思いついて質問をした。


「それは魔装だ。こちらはただの趣味だ」


 リゼはそう言うと、おもむろに指をパチンと鳴らした。すると、リゼの髪が一瞬にして短髪から長髪に変わる。


「わぁ! すごい!」


 リッカは驚いて感嘆の声を上げた。


「ま、こんな感じだ。ちなみに、俺はこの長い方の髪型の方が好きだな」


 ジャックスがそう言うと、リゼはフンっと鼻を鳴らす。そしてもう一度指をパチンと鳴らし、髪を短髪に戻した。


「貴様に好かれようとは思っていない」

「ハハッ! 相変わらずだな、お前はよぉ!」


 ジャックスは愉快そうに笑った。それから思い出したようにリッカを見て、苦笑いをする。

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