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新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!  作者: 田古 みゆう


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新人魔女の完成魔道具(8)

 その後、リゼが食堂へやって来るまで二人は話に花を咲かせた。


「騒がしいと思ったら、君か」


 食堂へ入ってきたリゼが不機嫌そうに顔をしかめる。リゼがテーブルにつき薬草茶を飲み始めると、エルナが嬉しそうに話し始めた。


「作業のお邪魔をしてしまい申し訳ありません、ネージュ様。ですが、これをご覧ください。とても素敵だと思いませんか?」


 エルナは自分の髪から髪飾りを外すと、リゼに手渡した。リゼはエルナから魔道具を受け取り、マジマジと見つめる。


「完成したのか」

「一応は。ですが、まだ試動させていませんので、本当に機能するかどうか……」

「これは、エルナさんの分ということだろうが、君の分の魔道具も完成したのか?」

「はい。ここに」


 リッカは、自分の首元にあるチョーカーに手をやった。


 リゼはしばらくの間、思案するように目を細めていたが、やがて手にしていた髪飾りをエルナに返すと、再び付けるように言った。


「ではこれから試動させてみよう。エルナさんもお付き合いください」


 三人は工房の外へ出る。今回の魔道具は攻撃的な要素はないが、万が一の事を考えて、広い場所を選んだのだ。


「君の魔道具から試してみよう」


 リゼに促され、リッカは魔道具に魔力を流す。すると、リッカの首元で星型のチャームがキラリと光る。


「では、いきます」


 リッカはそう言うと、火属性の赤い水晶にそっと触れる。すると、リッカの体を包むようにパッと赤い光が発せられた。それは一瞬のことで魔道具の光は次第に弱まり、やがて消えた。しかし、確実にリッカには変化が起きていた。リッカの髪が燃えるような真紅に染まっているのだ。


 リッカは自身の変化に目を見張る。自身で魔道具を作り想定していたとはいえ、自らの髪の色が変わるなど初めてのことだ。どことなく居心地が悪い。


 しかし、体には特に影響はないようだ。自分の両手や体を動かしてみたが、まるで放電するかのように、パチパチと小さな音を立てて、赤い光がリッカの体を取り巻いている以外は、いつもと変わらなかった。


 やがてパチパチという放電が収まると、リッカの髪色も元に戻った。念の為、別の水晶でも試してみたが、同じように属性色を放ち、髪色も変化した。どうやら、リッカの魔道具作りは成功したようだ。


 その後は、エルナの魔道具試動を行った。こちらも問題なく動いた。ただ、想定外だったのは、防御力が想定以上に強かったことだ。リゼの水晶を使っているためだろうか。

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