新人魔女の完成魔道具(7)
「直すなんてとんでもない! 私はこれを頂きたいです」
エルナの言葉にリッカはホッと胸をなでおろす。どうやら気に入ってもらえたようだ。
「付けてみても良いですか?」
リッカが頷くと、エルナはいそいそと自分の髪にその髪飾りを付ける。すると、星屑の輝きがより一層鮮やかになった気がした。エルナは、髪飾りをそっと触ってみては、嬉しそうに微笑んでいる。リッカも思わず笑みを零すと、エルナが満面の笑みを向ける。
「先日のお話では、リッカ様用の魔道具もお作りになるとのことでしたが、そちらも完成しましたか?」
エルナの質問にリッカはこくりと頷いた。そして、鞄の中から自身のチョーカーを取り出すと、それをエルナに差し出す。リッカから受け取った魔道具を一目見てエルナはふわりと笑みを浮かべた。
「とても可愛らしいです。フェンちゃんとお揃いですか?」
エルナは、フェンの首にはめられているお揃いのチョーカーに目を細める。
「はい。用途は違いますが、フェンと同じデザインにしてみました。それから、エルナさんとも。形は違いますが、同じ星のデザインにしたんです」
「まぁ! 本当」
嬉しそうに目を輝かせるエルナに、リッカはおずおずと切り出す。
「あの……お嫌ではありませんか?」
リッカの言葉にエルナはキョトンと目を丸くした。
「なぜです?」
「その……お揃いなんて子供っぽいかなと……」
「そんなことありませんよ。私、とても嬉しいです」
エルナの言葉に安堵の表情を浮かべたリッカを見てエルナが穏やかに微笑む。そして、リッカのチョーカーを手に席を立つと、リッカの後ろへと回り込んだ。
リッカが首を傾げていると、エルナがリッカの首にそのチョーカーをはめてくれる。リッカが驚嘆の声をあげると、エルナはクスクスと笑う。
そして、「少し待っていてください」と言い置くと、パタパタと食堂から出て行ってしまった。しばらくすると、エルナは手鏡を手に戻ってきた。そしてリッカの目の前にその手鏡を差し出した。
「とてもお似合いです。リッカ様」
エルナの言葉に頬を染めたリッカの隣には、星型の髪飾りをつけたエルナの姿が映り込む。二つの魔道具がキラリと光を反射した。思わず頬が緩む。リッカは自身の首元で光るチョーカーをそっと撫でた。
これまで誰かとお揃いの物を持つことなどなかった。リッカにとって初めての行為だ。なんだか気恥ずかしいけれど、嬉しくて楽しいという感情がふつふつと沸き上がってくる。