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新人魔女の魔力暴発計画(4)

「わたし、今日は魔装の魔道具作成をしたいと思うのですが、構いませんか?」


 リッカがじっとリゼを見つめ、お伺いを立てた。


「それは構わない。但し、この件にあまり時間はかけられない。もし、魔道具が完成しそうにない時は、早めに報告をしろ。計画の変更を考えなくてはならないからな」


 魔装の魔道具を作るのが遅かった場合、リゼの計画が破綻する可能性もある。早めに報告をすることは重要なことだった。リゼの言葉に、リッカは神妙な面持ちで頷く。


「わかりました。なるべく早く完成させます」

「それから、エルナさん用の魔道具はどうなっている?」

「……そちらは、まだ何も」


 リゼが問いかけてきた言葉に、リッカは口籠る。エルナの魔道具は何も出来ていないどころか、アイディアさえ思いついていない。


 しかしリゼは別段責め立てるつもりはないようだった。


「まぁ、そちらはまだ今すぐに必要ということもないが、先ほどと同じく状況報告はするように」

「わかりました。進捗は必ずご報告します」


 リゼの言葉に、リッカは返事をすると一礼して(きびす)を返した。執務机に一人残ったリゼは、先ほどリッカに手渡した魔術書に視線を落とす。


 属性魔法付与――それはその名の通り、魔法を物質に付与するものだ。様々なものを素材と出来る上、術者の技量によっても異なるが大抵は何にでも付与ができる。リッカはこの魔術でどんな魔道具を作るのか。


 リゼは小さく息を吐くと、椅子に深く身体を預けた。それから、ボソリと呟く。


「グリム、あとは頼んだ」


 リゼの足下で丸くなっていた白猫の使い魔は、起き上がりグッと伸びをする。それから、主人に向かってニッと笑ってみせると、工房を出て行ったリッカの後を追いかけて行った。


 工房を出たリッカは、そのまま森へ進む。その足取りに迷いはなかった。リッカが目指すのはいつもの洞窟だ。上質な水晶が手に入る事はもとより、誰も来ない静かな洞窟は秘密の隠れ家のようで、リッカはその場所をとても気に入っていた。


 洞窟に辿り着くと、リッカは慣れた足取りでズンズンと奥へ進んでいく。やがて目の前には、天井から光が差し込む神秘的な空間が広がる。地面のところどころから生えている水晶の一つにリッカはそっと手を触れた。何物にも染まらない無色透明の水晶に触れていると、それだけで心が澄んでいくようだった。


 リッカはふぅと息を吐き、目を閉じる。そして、再び眼を開いた時にはその瞳には強い光が宿っていた。

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