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新人魔女と不器用な師匠(4)

(……一体何をしているのだろう?)


 納得がいかないのか、難しい顔をして首を傾げているリゼの様子を見ていたリッカは、控えめに声をかけた。


「あの……何をされているんですか?」


 すると、リゼは怪しげに目を細めて言った。


「何って、新しい薬の開発だ」

「そ、そうなんですか?」


 予想外の答えだった。リッカは驚くと同時に慌てる。


「あ、あの……もしかしてわたしの調合した薬を使われるおつもりですか?」

「当然だろう。そのために今朝は早くから用意していたのだ」

「いやでも……品質の確認とかは……」

「品質? そんなものはさっき確認したではないか。私は早く新薬を作りたいのだ。邪魔をするな」

「えっ……あ、はい」


 有無を言わせない迫力に圧倒され、思わず返事をしてしまった。


「いい子だ」


 リゼは満足気に言うと、また薬作りに没頭し始めた。取り残されてしまったリッカは、仕方なくリゼの隣に立って作業の様子を眺めることにした。


(それにしても……本当に綺麗だなぁ)


 真剣に薬を作る横顔を見ながら、リッカはぼんやりと思った。リゼの顔立ちは整っていて、どこか神秘的な雰囲気がある。特に今は、窓から差し込む太陽の光が金髪をより一層輝かせていた。


 しばらくリッカはぼぉっとしていたが、ハッとして頭を振った。いけない。早く残りの作業を終わらせなければ。慌てて作業に戻ろうと工房の扉を開けると、突然目の前に人影が現れた。


「うわっ!?」


 驚いて飛び退くと、そこにはジャックスがいた。彼も驚いた様子でリッカを見ると言った。


「おう、嬢ちゃん。どうした? 早速リゼにこき使われてるのか?」


 リッカは曖昧に笑う。


「いえ、そういうわけではないのですが……」


 リッカはちらりと後ろを振り返る。リゼはこちらの様子など気にもせず作業を続けていた。


「なんだ? どうかしたのか?」

「それが……」


 リッカは簡単に事情を説明した。すると、ジャックスは豪快に笑った。


「はっはっは! そりゃ、リゼは間違ってないぜ。確かに嬢ちゃんはリゼの助手として雇用契約されてる」

「ど、どういうことなんでしょうか。わたし、助手なんて一言も聞いて……」


 そこまで言って、リッカは思い出した。確か昨日、ジャックスとリゼが言い合いをしている時、ジャックスは言っていたはずだ。


――こいつを逃したら二度とお前のところに助手は来ないぞ――と。


 つまり、ジャックスもリゼも最初からリッカのことを工房見習いではなく、助手にするつもりだったのだ。

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