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新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!(1)

 新人魔女リッカは、いくつかの求人票が貼り付けられた掲示板を睨みつけていた。


「むぅ……やっぱり街での仕事ばっかりだなぁ……」


 ため息と共に、肩を落とす。


「まぁ……当然といえば当然かぁ」


 ひと昔前までは、魔女の仕事は、基本的に森や山奥などで行うものがほとんどだった。しかし、魔法使いや魔女は随分前から街での需要が高い職業になり、最近は魔女の工房が街中にあることも珍しくない。


 また、魔獣の異常発生により、魔女も山を下り、街に出ざるを得なくなったというのも街に工房が増えた理由の一つだった。


「しかし困ったなぁ……。このままではお金が稼げないことに……」

「おっ? どうした嬢ちゃん? 職探しか?」


 リッカが振り返ると、そこには髭面の大男が立っていた。男はリッカよりも頭二つ分以上背が高く、その体は筋肉で覆われており、一目見ただけでただ者ではないとわかるオーラを放っていた。


「えぇ……そうですけど……」


 リッカは思わず後ずさりながら、曖昧に答える。


「あぁ。そうか。今日は新人の就活解禁日だもんな。それで? 嬢ちゃんは、協会発行のライセンスは何か持っているのかい?」

「えぇ……もちろん持ってますが……」

「なら話は早い。嬢ちゃんはまだ見習い学校の生徒さんってわけじゃないよな?」

「はい、先日卒業したばかりです」


 魔女として一人前になるためには、まず、見習い学校への入学が必要となる。そこで一般知識を二年間学び、その後、希望者は専門のコースを各自選択し、三年かけて各種のライセンス取得を目指すことになる。


 そして、ライセンスを取得して初めて、自分の工房を持つことが許される。ただし、学校を出たばかりの新人が自分の工房を持つことは資金的にも技術的にも難しく、見習い学校を卒業した者のほとんどが、どこかの工房所属となり、技術を磨いていくことになる。


 ちなみに、リッカはつい先日学校を卒業したばかりの十五歳。まだ新米もいいところである。


「じゃあ、ライセンスと卒業証明書を見せてくれ」

「えっ?」

「ん? どうかしたのか?」

「いえ……」


 リッカは慌てて懐から二枚のカードを取り出して大男に手渡す。


 すると、彼はそれをしげしげと見つめた後、「ふむ……」と小さく呟き、カードを返した。


「確かに本物みたいだな。それじゃあ改めて聞くが、嬢ちゃんはどこの工房にも所属していないんだよな?」

「はい、そうですけど……」

「よし! じゃあ早速職探しだ!」

「えっ? ……あの……」

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