12章 製造ルート 8話
そして、レイジック以外の気絶させた三人を、一目の居ない所に連れて行き、すぐにレイジックの元に向かうライト達。
「よし、こいつを連れて行くぞ」
「でも、ここから誰一人にも見られず連れて行くのは無理なんじゃ」
「俺らでレイジックを隠しながら行く。万が一バレたら、具合が悪いから外の空気でも吸わせに行く、とか言えば案外どうにかなるもんだぜ」
レイジック達の指示にライトは「分かりました」と言い、レイジックが気絶させた男を肩でしょうと、ライト達はレイジックを覆うように移動していく。
一人、また一人と従業員を横切って行くがバレず、何とか移動出来ている。
ライトは常に冷や汗をかきながら気が気ではなかった。
何とか上に行くと、表向きの衣服製造業に着いた。
「お疲れ様です」
一人の従業員を横切って行く時に、不審に思われないよう、先程からミリイが軽くお辞儀をし愛想笑いを浮かべながら挨拶をする。
「流石警察署随一のご機嫌取り娘」
ラーシュが少し気が緩んだのか、軽くミリイを弄る。
「誰がだ」
ミリイはムスッとしながらラーシュの横腹をどつく。
「うごっ」
「お前ら何やってんだ」
レイジックは呆れ軽くため息を吐いた。
そうこうしている間に、玄関のシャッターが見えたその時。
「待てお前ら」
なんと、先程案内をしていた厳つい男がシャーターの前で待ち構えていた。
「照合した紙を見せて見ろ」
厳つい男の要求にライトはチェックしていた紙を見せる。
事前に全ての項目に異常がないと書いていた。
厳つい男が真剣な表情でチェックし終える。
「で、そいつはどうした?」
厳つい男がレイジックの肩で腕を回され横で気絶している従業員に気付く。
「気分が悪いようですので。すぐそこの自販機で飲み物でも飲ませようと思いまして」
ライトが無難な対応をする。
「ほう、そうか。それは良いが、何故物品の照合に誤差があるのかそこら辺を聞いていいか?」
「えっ!」
厳つい男のまさかの質問に一驚するライト。
「お前らが来る五分前には、こちらで照合し終えていた。その時は四丁のAK―74と三個の手榴弾が欠けていた。なのにお前らは物品の照合に問題がないと書いていた。俺達が間違ってたのか? 四回も照合したのにか?」
厳つい男は笑っているようで笑っていない様子で、ライト達を詰問する。
「……それは、……ええと」
ラーシュは歯切れの悪い返事をする。
「あ、そうだ。シャルナさんが欠けていても全て問題なしとチェックして良いと仰っていましたので。それでこう言う結果になったんですよ」
ラーシュは機転を利かしたように明るく答える。
他の一同は、(そんなので大丈夫か?)と疑問を持っていた。
「そうかそうか。それなら仕方ないな。それが本当にシャルナさんが言ったとしたらな」
厳つい男は威圧した声でそう言うと、指を鳴らす。
すると、外から先程、下の武器工場で仕事をしていたガラの悪い従業員達がアサルトライフルを手にしてぞろぞろと現れてきた。
「これは一体⁉」
ミリイがまさかの展開に驚愕する。
「実はな、さっきシャルナさんに確認の連絡をした。そう言えば分かるか?」
厳つい男は薄ら笑いをする。
緊迫した空気が張り詰める。
「まあ、こっちは端から出たとこ勝負しか出来なかったしな。仕方ない、お前らのもてなし受けてやるよ!」
レイジックがそう言うと、担いでいた男を放す。




