12章 製造ルート 7話
すると、ライト達のすぐ近くで、スコッチテープで四角く張られていた空間がスライドして開いていく。
中には地下に続く階段があった。
その様子を黙って見ながらも生唾を飲み込むライト。
これから向かうのは本当に怪傑人が製造している武器製造の中だと思うと、緊張してしまう。
レイジック達は眉を顰め警戒する事を怠らない。
そして、厳つい男が「こっちだ」と言うと、後を着いて行くライト達。
薄暗い階段を下りた先は扉も無い入り口だった。
中に入ってみると、また薄暗いかと思ったが、そこはしっかりと灯りを付けられていた。
五百坪の衣服製造業と同じスペースが確保され、そこで火器を製造していた光景が広がっていた。
ベルトコンベアから流れてくる銃のパーツを手に取り組み立てていく作業や、手榴弾などの爆弾を丁寧に扱い、箱に並べていたりなどしていた。
シャルナの名であっさり通れたり、その先に火器などが製造されていれば間違いなく、ここの衣服製造業は黒と言う事になる。
レイジック達は確証を得たが、これでは前進しない事を知っていた。
内通者が上層部だとすると、ここの場所を露見し、証拠として、警察に報告しても、消されるのが目に見えていた。
なので、現時点では武器が製造されている事が分かればお役目御免なのだが、そうは行かない。
ここの従業員の一人でも尋問できればいいのだが、ここは敵の根城の一つとも言える場所。
そんな場所で関係者の一人に接触する事自体が難しい状況だった。
少しでも不審な動きだと分かれば警戒され、尋問される側になるかもしれない。
下手をしたら殺される可能性もある。
今、武器の製造業に従事している人間の数は、少なくとも五十人はいる。
仮に戦闘になれば、不利になるのはライト達だった。
「これで照合してくれ。結果はそのままお前らがシャルナさんに伝えてくれ」
厳つい男が近くに置かれている用箋挟を手に取り、レイジック達四人に渡す。
詳細に印刷された武器の種類と数が記載され、それが合っているかチェックするだけの簡単な作業。
だが、レイジック達の任務は、武器が製造されているかどうか、と言うのと、後の一つは……。
厳つい男は上に向かい、持ち場に戻る。
「よし、手筈通りだ。ここに居る連中の中から一人を捕らえ、バンの中で尋問する」
「なるほど。分かりました」
レイジックの指示にライトは従う。
「出来るだけ固まって行動するぞ。いざって時のためにな」
ラーシュは先導しチェックするふりをして捕まえやすそうな手頃な人間を見つけだそうとする。
ラーシュの後に続くライト達。
少し間を空けながら付いて行く。
だが、中々一人で作業している人間はいなかった。
大抵、四,五人が視野に入る範囲で作業していたため、一人だけを狙うと言う訳にはいかなかった。
すると、ミリイがレイジックに近付きある提案をした。
「レイジックさん。こうなったら最低四人組の作業員を狙い、各個で無力化して、気絶させた一人でもバンに連れて行きましょう」
「どうせ長いもしないし、それしかなさそうだな。俺が気絶させた奴でも連れて行こう」
ミリイが耳元で囁く言葉に首肯するレイジック。
何故か先程から作業員の数が減っている事に、レイジックは疑問を持ち始める。
そして、ミリイがライトに伝達すると、ラーシュには軽く口笛を吹き気付かせると、指で指示を出すレイジック。
ラーシュは無言で首肯し、四人組の作業員に向かって行く。
物品のチェックをするふりをしながら、各々が一人一人の作業員の背後を自然と取ると、レイジックが再び口笛を鳴らす。
それがアイズだったため、全員は四人の作業員を殴り、一斉に気絶させた。




