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12章 製造ルート 3話

 「なるほど、事情は分かりましたが、大丈夫なんですか? この町、至る所に監視カメラが設置されていますが? 万が一、今この場が映されていたら」


 ライトは畏まる様子で聞いてみる。


 キャンディー所長を疑っている訳ではないが、他の警備員や監視員に見られて、そこから内通者に繋がる可能性も無くはない。


 その懸念があるからこそ、ライトは動揺していた。


 「その辺なら大丈夫だぜ。さっきハッキングして、ここいら一帯の映像は全て同じ描写しか移さないからな」


 ラーシュは自信満々な様子だった。


 「言っとくけど、それ私がやったんだよ。何でラーシュ君が威張るの」


 頬を膨らませご機嫌斜めのミリイ。


 どうやらライトの杞憂だったようだ。


 ライト達が居る衣服製造業の周辺にも監視カメラがあるが、ミリイのハッキングのお陰で、同じ映像がリピートする仕組みのようだ。


 「それで一体、どうやって武器が製造されているか特定するんですか?」


 ライトは最大の疑問について尋ねてみた。


 「衣服を運搬する際には必ずトラックを使う。そのトラックをこっちでモニタリングして、そのタイヤの凹み具合から特定するんだ。衣服と違って火器が重いのは当然だ。だから衣服製造業から出てくるトラックが、衣服を運搬する際に規定値から外れた凹み方をしていたら、疑う余地があるって寸法だ」


 レイジックが親切に説明してくれる。


 「そう言う事だったんですね。それで僕に何かできる事はありませんか? 力になりたいんです」


 ライトは少しでも助力したかったため、積極的に申し出る。


 「安心しろボウズ。お前さんの見せ場はちゃんとあるぜ」


 そこでタルヴォが笑みを浮かべライトを安堵させる。


 落ち着きがなかったと思われるのも仕方ない。


 ライトも父親であるヴァンの報いに応えるには、(かい)(けつ)(じん)の首謀者を突き止める事でもあるのだから。


 「あっ、来ました。トラックです」


 固唾を飲み込んだライトに応えるかのように、衣服製造業の工場からトラックが出て来た。


 ミリイがハッキングした監視カメラで、そのトラックのタイヤを映し、パソコンのモニターに、そのトラックのタイヤの詳細なデータが映し出される。


 「どうだ」


 レイジックが鋭い目をパソコンのモニターに向ける。


 「……駄目です。二、二センチ程度しか凹んでません。火器を乗せているなら五、六センチは凹むはずですから」


 ミリイの気の小さい声に一同は大きなため息を吐いた。


 だが、ヒーロー教官はこんな一大事になっても、出合い系サイトに没頭中だった。


 「まあ、焦る事はねえ。こう言うのは根気と気概が大事だ。辛抱強く待とう」


 タルヴォが緩やかな声音で皆を落ち付かせる。


 肩の力が抜けた一同は根気強く待つ事にした。


 一台、二台通っても、タイヤの凹み具合は基準値だった。


 そこで、ヒーロー教官が「タルヴォ、レイジック、ラーシュ、今度合コンに行かないか?」と呑気に提案してくると、レイジックが「この前助けを求めて貰ってなんですけど、もう少し緊張感を持って下さいよ。いざって時にヒーロー教官は戦力になるんですから」と呆れながら言う。


 すると、ミリイがヒーロー教官の前にまで歩き、ムスッとした顔で、ヒーロー教官のスマートフォンを没収した。


 「あっ! ちょっとミリイちゃん! まだ調べていない婚活サイトがあるんだぞ!」


 ヒーロー教官は(あわ)ただしくミリイを呼び止める。


 「駄目です。そもそもライト君が居るのにそんな如何わしい事言うもんじゃありません。ほら見て下さいよ! このサイト、どう見てもセンシティブなサイトじゃないですか! 何が禁欲を解放せよですか!」


 ミリイはヒーロー教官を叱責しながらスマートフォンに移されているサイトを見て見るや否や、切羽詰まった表情でヒーロー教官を()(しゃく)する。


 「たく、お前はいつまで経ってもお前のままだわな」


 タルヴォが大きなため息を吐いてそう言う。


 「何を言っている。人間はありのままで居る方が光輝に満ち溢れるものだ。私は譲る気はないからな」


 ヒーロー教官はニヤつきながら自信満々に言い切る。


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