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11章 試み 2話

 「ああ、こちらこそ改めて宜しく頼むよ」


 シャルナは微笑しながら答える。


 「それで、さっきの話に戻りますが、今後、少なくともリーゼンキルの連中をどう処分するかですよね? リーゼンキルの構成員はざっと五百人規模。使い捨ての駒を処分するには些か面倒な数ですよ?」


 ブランは真剣な表情で聞く。


 「相変わらず君は物騒な事を口にするね。でも、(きた)るべき時には一掃されてるさ。数なんて問題じゃなないよ」


 シャルナは冷静に答える。


 「どういう意味です?」


 ブランはシャルナの言葉を理解できず首を傾げる。


 「組織と言っても所詮は子供の寄せ集め。リーダーを失えば容易に瓦解するだろう。そして報復するため、僕達に牙を向く。だからこそ(もろ)いんだ、子供と言うのは。それにリーゼンキルを始末するのは僕達の役目じゃない。彼らさ」


 冷酷な言葉のはずだが、それでもシャルナは平凡な会話でもしているかのように平然と話していた。


 「まあ、その辺はシャルナさんに任せますよ。凡人の私なんかではどう思考を張り巡らそうとも、リーゼンキルを一掃する方法なんて思いつきませんし」


 降参したかのような涼し気な態度で、両手を肩幅辺りにまで軽く上げるブラン。


 「そう卑下しなくていいさ。君は君で優秀だ。僕が保証するよ」


 「まあ、私の取柄なんてたかが知れてますが、シャルナさんに言われると悪い気はしませんね」


 シャルナの太鼓判を押すような言葉に、ブランはフッと笑いながら受け入れていた。


 「にしても、光を照らす(ライトイルミネイト)達はこの先どうするんですかね? それにライトと言う学生とヒーロー教官とやらは」


 「それを僕に聞くかい? 安心しなよ。彼らとは(じき)に対抗するさ。と言っても八百長みたいで無聊なものかもしれないけど。ただ……」


 シャルナは優美に語っていたが、最後の言葉でどこか憂鬱な表情になる。


 「ただ、何です?」


 シャルナは何に対して萎れているような表情になっているか分からず、ブランは当たり障りなく聞く。


 「ライト・ヴァイス。彼が僕にどう言う影響を与えてくれるのか分からないから、分からない分、楽しみでもあり不安でもある」


 シャルナは不敵な笑みで好奇心に駆られているような感じが見受けられた。


 「――えっ。シャルナさんでも分からないんですか?」


 どう言う訳か、ブランはシャルナでさえ予期していない事に驚愕する。


 「ああ。ライト・ヴァイスは僕にとってもイレギュラーな存在だよ。だからこそ楽しみでもあり不安なんだ。期待外れか、もしくは僕に転機を与えるか」


 ロイヤルミルクティーを啜りながら淀みなく語るシャルナ。


 「なるほど。まあその事に付いてはシャルナさんの一存で良いでしょう。それより連中はどう言うつもりですかね? 光を照らす(ライトイルミネイト)を存続させ続けるなんて。本当ならとっくの昔に解体されているはずなんですが」


 ブランは腑に落ちない表情で喋る。


 「多分、在り来りな理由だと思うよ。君が気に病む事じゃない。光を照らす(ライトイルミネイト)のメンバー達にも頑張ってもらわないと。反逆者が僕達に一途なのは貴重だ。だからこそ遊び買いがある。それに少なからず証拠を残してあげたんだ。それを有効活用してもらわないと。僕の名前も含めてね」


 歪さや邪気など感じられない様子で、穏やかに語るシャルナ。


 果たして、ライト達の行末はどうなるのか?

ここまでお読み頂き、評価して下さった読者の皆様方、本当にありがとうございます。

11章「試み」はここで終わります。

次章からも是非ご一読ください。

よろしくお願いします。

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