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10章 過去の呪縛 2話

 そして、司会者の男が進行役となり、光を照らす(ライトイルミネイト)のメンバー達は、一人一人自己紹介をしていく。


 「それではこれより(しつ)()(おう)(とう)に入らせていただきます。質問のある方は挙手を」


 司会者が慣れた様子でそう言うと、五十人の記者達が一斉に手を挙げる。


 各自、番号が割り当てられ、その番号で呼ばれた人が質問できると言うシステム。


 そして、司会者が一人の男性を指名した。


 その人物は常にふてぶてしいような人相の中年の男性。


 「インプレイテルのクロビデンス・サラーです。商店街での銃撃事件の際、覆面を被った人物が、事前に子供だと言う事は認識していましたか?」


 その質問に答えようとミリイがマイクを取る。


 「いえ、知りませんでした」


 その重圧感のある言葉に記者達は特に驚きはしなかった。


 これくらいは想定内だったのだろう。


 すると、クロビデンスはその場で立ち上がった。


 「でしたら株式会社に襲撃してきた相手は少なくとも、子供だった、と言う懸念はあったはずですよね? 何故射殺したのですか?」


 「質問は一人につき一回となっております」


 眉間に皺を寄せるクロビデンスの言葉を堰き止める司会者。


 だが、レイジックが真面に受ける。


 「今のご質問通り、自分はあの覆面を被った人物が子供だったと言う懸念はありました。しかし、子供だからと言って武器を手にし、民間企業だろうが警察署だろうが襲撃した時点でテロリスト同然です。そんな相手を鎮圧させるには武力しかありません」


 レイジックは力強い言葉をマイクで答える。


 クロリデンスは納得したか、司会者に堰き止められたかは知らないが、椅子に黙って座る。


 「オホン。では次の方、どうぞ」


 司会者が咳払いをし気持ちを落ち着かせると、次に挙手した番号の人物を指名する。


 「サンリバリのアルエ・パティシと申します。(かい)(けつ)(じん)と持て(はや)されている相手が、ギャング集団のリーゼンキルと言う噂が広まっていますが、事実なのですか?」


 その若い女性の質問にラーシュが答えようとマイクを取る。


 「その事に付いては目下検討中です」


 ラーシュは落ち着いた様子で答える。


 その後、アルエは納得した様子で頷く。


 だが、ラーシュが隣に居るミリイに小声で「あの子可愛くね。最近見た女の子の中で群を抜いてるわ」とはしゃぎ気味で声を掛けるが、ミリイは眉を顰めラーシュの横腹を殴る。


 「うぐっ」


 ラーシュが呻き声を上げると。司会者の人が「どうなさいました?」と尋ねてきたので、ミリイは「いえいえ、どうやら昨日食べたキュウイが少し腐ってたらしくて、排便のしすぎでお腹を痛めてるだけです」と八方美人がするような取り(つくろ)うような笑みで誤魔化す。


 司会者の男は「え、はあ、ご大事になさって下さい」と少し動揺しながら答える。


 若い女の子が笑顔で、しかも記者会見の場で排便なんて品の無い言葉を口にしたせいだろう。


 記者達の何人かは微笑していた。


 色んな記者が手にしている手帳に書き記していく。


 少しイレギュターな事態はあったが、ここまでは概ねリハーサルどうりだった。


 しかし、次の質問は正にイレギュラーだった。


 「それでは次の方」


 司会者が次の番号を指名する。


 「タリアマン社のリエイ・ルードです。これは(かい)(けつ)(じん)と慣例性がある訳ではありませんが、タルヴォさん。貴方は十年前、殺人犯の子供を目の当たりにして、ハンドガンを所持していたにも関わらず、発砲しなかった。しかし、今回の(かい)(けつ)(じん)と思われる子供は射殺なされた。改めて子供を射殺なさった心境をお聞かせ下さい」


 その質問に周囲はどよめき始める。


 タルヴォが十年前、ある民家で発砲音を聞き、玄関に駆けつけると、銃を手にした男の子が服を血塗れにしタルヴォを横切り、その民家を去って行ったのだ。


 ミリイとラーシュは訳が分からず互いの顔を見て困惑していた。


 一体何の話か? と。


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